鉄分摂取量と、乳ガンのリスクと、抗酸化物質のサプリと、脂肪(特にEPAとDHA)摂取量との関係

(2016年10月) "Oncotarget" 誌に掲載されたINSERM(フランス)の研究によると、鉄分の摂取量が多いと乳ガンになるリスクが増加する恐れがあります。 このリスクは、①抗酸化物質のサプリメントを同時に服用していない場合と、②脂肪分の摂取量が多い場合に顕著でした。出典: Dietary iron intake and breast cancer risk – modulation by an antioxidant supplementation

研究の方法
平均年齢47才前後の女性 4,646人を被験者として低用量の抗酸化物質(*)を服用した場合とプラシーボを服用した場合とで乳ガンになるリスクを比較した臨床試験のデータを用いて、食事による鉄分摂取量と乳ガンのリスクとの関係を調べました。
(*) 毎日、ビタミンC120mg・ビタミンE30mg・βカロチン6mg・セレン100μg・亜鉛20mgを服用した。

乳ガンのリスクを調べた期間は12.6年間(中央値)で、この期間中に発生した乳ガンの症例数は188件でした。

データの分析においては、鉄分摂取量に応じてデータを3つのグループ(*)に分けて、年齢・生活習慣・BMI・乳ガンの家族歴など様々な要因を考慮しつつ、グループ間で乳ガンのリスクを比較しました。
(*) 1日あたりの鉄分摂取量は、摂取量が少ないグループから順に7.7mg・10.6mg・14.4mgというもの。
結果
データ全体

データ全体では、鉄分摂取量がもっとも多かったグループは摂取量がもっとも少なかったグループに比べて、乳ガンのリスクが67%高くなっていました。

抗酸化物質の有無

抗酸化物質を服用したグループとプラシーボを服用したグループに分けて分析したところ、後者でのみ鉄分摂取量と乳ガンのリスクとの間に関係が見られました。 プラシーボを服用した場合に限り、鉄分摂取量がもっとも多かったグループは摂取量がもっとも少なかったグループに比べて、乳ガンのリスクが180%(2.8倍)高くなっていました。

脂肪摂取量
プラシーボを服用していた場合の鉄分摂取量と乳ガンのリスクとの関係は、脂肪の摂取量が多い(*)女性で顕著となる傾向にありました。
(*) 中央値で78.5g/日以上。
DHAとEPAに要注意

脂肪が鉄分摂取量と乳ガンのリスクとの関係に及ぼす影響は、健康に良いとされているDHAEPAなどのオメガ3脂肪酸で目立っていました。

EPAやDHAの摂取量が多い場合、鉄分摂取量がもっとも多かったグループは摂取量がもっとも少なかったグループに比べて乳ガンのリスクが、EPAでは338%(4.38倍)、DHAでは267%(3.67倍)高くなっていました(ただし、DHAに関しては相互作用のp値〔p for interaction〕が0.3)。

EPAやDHAの摂取量が少ない場合には、鉄分摂取量と乳ガンのリスクとの間に統計学的に有意な関係が認められませんでした。

EPAやDHAについて、研究チームは次のように述べています:
「鉄分摂取量と乳ガンのリスクの間に見られた関係は脂質摂取量が多いと顕著だったが、脂質のなかでもEPAとDHAの影響が目立った。 長鎖オメガ3脂肪酸は二重結合の数が多いために過酸化が生じやすい」
結論
これまでの研究では、赤身肉・加工肉の摂取量が多いと大腸ガンや乳ガンのリスクが増加する背景に鉄が誘導する脂質過酸化が関与するのではないかと考えられてきましたが、乳ガンのリスク増加にはやはり鉄が誘導する脂質過酸化が関与している可能性があります。