長年の謎だった「痒みを感じる神経」を特定

(2013年12月) "Nature Neuroscience" 誌に発表されたジョンズ・ホプキンス大学の研究グループによる研究により、痒(かゆ)みを感じる神経細胞が特定されました。 これらの神経細胞は痒み専用の細胞で痛みは感じません。

これまで

痒いという感覚が痛いという感覚の一形態なのか否かは、これまで数十年間ずっと謎でした。 痛覚神経のなかに痒みに反応するものが見つかっていましたが、痒みのみに反応する神経は見つかっていませんでした。 研究者の中には、痛みと痒みは、感じる神経は同じで脳による処理が異なるだけではないかと考える人もいました。

今回の研究

この研究では、神経細胞が発火(他の神経細胞から受けた入力信号をさらに別の神経細胞へ出力すること)する時に緑色に光るように遺伝子を改造したマウスを用いました。 これらのマウスを、痒みを引き起こす化合物(ヒスタミンなど)に暴露させ、発火する(緑色に光る)神経を突き止めたのです。

そして(マウスが痒みを感じたときに)緑色に光る神経を除去(burn out)したところ、マウスが掻く仕草をすることが大幅に減りました。

しかしながらこれだけでは、緑色に光る神経細胞で痒みを感じていることを示せたことにはなっても、緑色に光る神経細胞が痒みのみを感じるということを示したことにはなりません。

そこで研究グループは、マウスの顔で緑色に光る神経細胞だけを活性化させてみました。 すると、マウスたちは後ろ足で顔を掻く仕草をしました。 この仕草はマウスたちが痒いときに見せる仕草です。 マウスは(顔に)痛みを感じるときには前足で顔を拭う仕草をします。

解説

今回発見された痒みを担当する神経細胞は、脊椎骨の内側の脊髄に近いところにあり、皮膚の内側の部位のみを神経支配しています。 そのために、ヒトは皮膚に痒みを感じるけれど内臓に痒みを感じることはないのです。 例えば「膵臓がカユい」などということは無いわけです。

研究者によれば、痒みを感じる神経は今回発見されたもの以外にもあり、(緑色に発光する神経細胞を除去したマウスも掻く仕草が減っただけでしたね)それはおそらく痛みと痒みの両方を感じる神経です。