研究の方法
乳製品と心血管疾患(心臓発作や脳卒中)になるリスクや心血管疾患で死亡するリスクとの関係について調べ 2014年9月までに発表された研究の中から所定の基準を満たす27の研究を選出し、それらのデータを分析しました。 データに含まれる人数は14万人超、症例数(発症件数と死亡件数の合計)は心血管疾患が 8,648件、冠動脈疾患が 11,806件、脳卒中が 29,300件でした。
結果
心血管疾患全体と乳製品摂取量との関係について調べた研究のデータを分析したところ、乳製品摂取量と心血管疾患になるリスクや心血管疾患で死亡するリスクとの間に統計学的に有意な関係は見られませんでした。
同様に、乳製品の摂取量と冠動脈疾患になるリスク・冠動脈疾患で死亡するリスク・脳卒中になるリスクとの間にも関係が見られませんでした。
脳卒中で死亡するリスクに関してのみ、乳製品摂取量が多いとリスクが20%低いという結果になりました。
乳製品で脳卒中死亡リスクが下がるのは日本の話
乳製品の摂取量と脳卒中で死亡するリスクとの関係を調べた研究の数は8つでした。 そして、乳製品の摂取量が多い場合に脳卒中で死亡するリスクが下がっていたのは、この8つのうち2つだけで、そのどちらもが日本で行われたものでした。
残りの6つの研究(欧米やオーストラリアで行われたものが4つと日本で行われたものが2つ)では、乳製品摂取量と脳卒中で死亡するリスクとの関係が統計学的に有意ではありませんでした。
このような結果となったのは、欧米の研究と日本の研究とで「乳製品摂取量が最大のグループ」の摂取量が大きく異なるためかもしれません。 例えば、今回のメタ分析に使用された研究でも、浜松大学の研究(リンク先は英文)では「乳製品摂取量が最大のグループ」の摂取量が男性で132.6g/日、女性で168.3g/日というものでしたが、スウェーデンの研究(リンク先は英文)では「乳製品摂取量が最大のグループ」の摂取量が 1,296g/日と桁違いに大量でした。
つまり、日本人の乳製品摂取量の水準で言えば乳製品摂取量は多いぐらいのほうが、脳卒中による死亡を予防するのに良いのかもしれないというわけです。
つい先日 "Plos One" に発表された研究でも、日本人の場合には肉や乳製品の摂取量が多いくらいのほうが健康的なのではないかという結果になっています。