日本脳炎ウイルスは豚同士のあいだで蚊を媒介しなくても感染する

(2016年2月) "Nature Communications" 誌に掲載されたベルン大学(スイス)などの研究により、日本脳炎ウイルスが豚同士の直接的な接触によっても感染することが明らかになりました。

日本脳炎ウイルス

日本脳炎ウイルスは、ヒトにおいて深刻な脳の炎症を引き起こします(豚においては発熱と脳炎に加えて繁殖上の問題も引き起こします)。 日本脳炎ウイルスへの感染は特に子供において、急性の脳炎・恒久的な障害・死亡の原因となることがあります。

日本脳炎ウイルスは西ナイル・ウイルスやデング熱、そしていま流行のジカ熱と同じフラビ・ウイルスの一種です。 これらのウイルスは蚊が媒介するという点やヒトと動物の両方に深刻な疾患を引き起こすという点において共通しています。

感染ルート

日本脳炎ウイルスは豚同士の間、鳥同士の間、そして豚からヒトに感染しますが、これらの感染はいずれも蚊を媒介するものしか知られていませんでした。 今回の研究では、日本脳炎ウイルスが蚊を経由せずに豚から豚へ直接感染することが示されました。

今回の発見と合致するケース

これまでに、日本脳炎ウイルスに感染している蚊が見つかっていないのに養豚場に日本脳炎ウイルスが流行するというケースが日本や台湾で報告されていましたが、こういったケースでは豚から豚に直接ウイルスが感染していたのかもしれません。

今回明らかになったこと

今回の研究において、日本脳炎ウイルスに感染した豚は何日間かにわたって唾液中にウイルスを放出していました。 また、非常に少ない量の日本脳炎ウイルスが口や鼻に入っただけでも、豚が日本脳炎ウイルスに感染することがありました。

そして豚の体内に入った日本脳炎ウイルスは、ヒトに感染した場合と同様に脳にまで広がって炎症を引き起こしました。 しかしながら日本脳炎ウイルスが増殖場所として好んだ部位は扁桃でした。 日本脳炎ウイルスは扁桃において数週間~数ヶ月にわたり検出されました。

研究チームは、日本脳炎ウイルスが豚の体内で長ければ何ヶ月間にもわたって生存し、日本脳炎ウイルスに感染中の豚が他の感染症にかかるなどして免疫力が弱った時に感染力を発揮して再び感染サイクルが生じるのではないかと考えています。