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日本人が脳卒中を予防するうえで理想的な身体活動の量

(2017年6月) "Stroke" 誌に掲載された大阪大学などの研究によると、脳卒中の予防には中程度の激しさの身体活動を行うのが良いようです。

研究の方法

心臓病・脳卒中・ガンの病歴がない50~79才の日本人7万5千人弱の身体活動量を調べ、2000年~2012年にかけて脳卒中の発生状況を追跡調査しました。

そして、身体活動量(METs)に応じてデータを4つのグループに分け、グループ間で脳卒中のリスクを比較しました。

結果

追跡期間中に 2,738件の脳卒中が発生しました。 このうち 1,007件が出血性脳卒中で、1,721件が虚血性脳卒中でした。

脳卒中のリスクが最も低かったのは、身体活動量が中程度(身体活動量の多さにおいて2番目のグループおよび3番目)のグループで、身体活動量が最も少ないグループに比べて17%のリスク低下でした。

身体活動量と脳卒中リスクとの関係を示すグラフでは、身体活動量が1日あたり0MET時間(*)から5MET時間へと増える辺りで脳卒中のリスクが30%ほど低下し、10MET時間辺りまで横ばいでした。

(*) 「MET時間」は「MET×経過時間」で計算します。 例えば3METの身体活動を2時間行う(3MET×2時間)と6MET時間の身体活動量となりますし、12METの身体活動を30分間行っても6MET(12MET×1/2時間)時間の身体活動量となります。

「MET時間」の他に「MET分」という単位も用いられます。 1MET時間=60MET分です。 見かけたことはありませんが「MET秒」という言い方も可能でしょう。

上記の「MET」のリンク先の厚生労働省のページに、早いペースでのウォーキングの身体活動量が5METとあるので、早いペースでのウォーキングを1時間行うと5MET時間の身体活動量を達成できることになります。

出血性脳卒中と虚血性脳卒中

身体活動量と脳卒中リスクとの関係を示すグラフが、出血性脳卒中ではU字型あるいはJ字型となる一方で、虚血性脳卒中ではL字型となりました。

出血性脳卒中は適度な身体活動によりリスクが下がるけれど、過度の身体活動によりリスクが上がるということになります。

虚血性脳卒中のL字型のグラフというのは、少量の身体活動により脳卒中のリスクが急激に低下し、それ以上運動量が増えてもリスクが横ばいだということでしょう。 つまり、虚血性脳卒中のリスクという観点からは、運動量が少なくても多くても効果が変わらないかもしれないというわけです。

結論

研究チームは次のように結論づけています:
「日本人の場合、脳卒中の予防には適度な量の身体活動が理想的かもしれない。 身体活動の激しさは中程度が良いと思われる。 激しすぎる身体活動は出血性脳卒中のリスクを低下させるどころか増加させてしまう恐れがあるためである」