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日本人の場合には食生活が欧米型に近いほうが死亡リスクが低い?

(2017年4月) "Plos One" に掲載された国立国際医療研究センター(日本)などの研究によると、一般的に不健康だとみなされている欧米型の食生活であっても、日本人にとってはガンや心血管疾患(心臓病や脳卒中)などで死亡するリスクの低下にとって有益である可能性があります。

研究の方法

深刻な疾患は抱えていない45~74才の日本人男女8万2千人弱の食生活を調べたのち平均で15年間近くにわたり死亡状況を追跡調査し、食生活のパターンと死亡リスクとの関係を調べました。

データの分析においては、年齢・性別・調査地域・BMI・身体活動量・喫煙習慣・糖尿病/高血圧の病歴・カロリー摂取量を考慮しました。

食生活のスコア化

データに含まれる一人一人について、食生活が「健康的とされる食生活」「欧米型の食生活」「日本人の従来の食生活」という3種類の食生活それぞれにどれだけ近いかを示すスコアを算出しました。 各スコアが高いほど、自分の食生活が各食生活に近いということになります。

3種類の食生活それぞれについて、スコアの高さに応じてデータを4つのグループに分類し、スコアが最低のグループと最高のグループとで総死亡リスク・心血管疾患で死亡するリスク・ガンで死亡するリスクを比較しました。

3種類のパターン

健康的とされる食生活

野菜・果物・大豆食品・ジャガイモ・海藻・きのこ類・魚介類を中心とする食生活。

欧米型の食生活

肉類(豚肉や牛肉など)・加工肉(ソーセージやハム、ベーコンなど)・パン・乳製品・コーヒー・紅茶・清涼飲料水・ドレッシング・ソース・マヨネーズをよく食べる食生活。

日本人の従来の食生活

鮭・塩魚・脂肪分が多い魚・海産物・漬物をよく食べる食生活。

結果

健康的とされる食生活

「健康的とされる食生活」のスコアが最高だったグループは最低だったグループに比べて、総死亡リスク(死因を問わない死亡リスク)が18%、心血管疾患で死亡するリスクが28%低くなっていました。 ガンで死亡するリスクについては、統計学的に有意な結果となりませんでした。

欧米型の食生活

食生活が「欧米型の食生活」のスコアが最高だったグループは最低だったグループに比べて、総死亡リスクが9%、心血管疾患で死亡するリスクが12%低くなっていました。 ガンで死亡するリスクについては、統計学的に有意な結果となりませんでした。

日本人の従来の食生活

「日本人の従来の食生活」は、総死亡リスク・心血管疾患で死亡するリスク・ガンで死亡するリスクとの間に一切関係が見られませんでした。 「日本人の一般的な食生活」のスコアが高いグループと低いグループの間で、こうした死亡リスクに差が見られなかったのです。

解説

今回の結果は、これまでの類似研究の結果と異なります。 これまでの類似研究(*)では、「欧米型の食生活」の人はガンや心血管疾患で死亡するリスクが高いことはあっても低いことはないという結果になっています。
(*) 欧米で行われたものが多いが、日本で行われたものもある。
今回の研究において食生活が「欧米型」に近い人で死亡リスクが下がっていた理由について研究チームはまず、日本人の肉類の摂取量が米国人よりも少ないという点を挙げています。 国連のFAO(食糧農業機関)の統計によると、米国人が1年間に消費する肉類の量が平均117.6kgであるのに対して日本人は平均48.8kgと米国人の半分以下です。
つまり、「日本人の場合は肉類の摂取量が日本国内における水準よりも多いくらいで丁度いいのではないか」ということでしょう。

また、「欧米型の食生活」では肉類のほかにコーヒーや乳製品なども多く摂りますが、こうした食品が総死亡リスクや心血管疾患による死亡リスクの低下に一役買っている可能性もあります。

さらに、「欧米型の食生活」では飽和脂肪酸(肉類や乳製品に多く含まれる)の摂取量が多く(*)、そして塩分摂取量が少なくなりますが、「欧米型の食生活」のこうした特色も心血管疾患で死亡するリスクが下がる理由の1つかもしれません。
(*) 日本で行われた研究("European Heart Journal" に掲載)に、飽和脂肪酸の摂取量が多いと脳卒中になることが少ない(心筋梗塞はリスク増加の恐れ)という結果になったものがあります。
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