(2017年9月) "Cell Metabolism" 誌に掲載された2つの研究(どちらもマウス実験)によると、ケトン食が健康的に長生きするのに有効かもしれません。
ケトン食とは
ケトン食とは、糖質とタンパク質の含有量が少なく、その分だけ脂肪分が多い食事のことです。 ケトン食によりブドウ糖が不足した肉体は、体脂肪からβヒドロキシ酪酸というケトン体を作り出し、それを代替的なエネルギー源として用いるようになります。
1つ目の研究
カリフォルニア大学デイビス校の研究では、ケトン食によりマウスの寿命が延び、さらに年を取っても身体能力や認知能力が衰えにくいという結果になりました。
研究の方法
マウスを次の3つのグループに分けました:- 普通のエサ(タンパク質18%・糖質65%・脂質17%)を食べるグループ
- 低糖質・高脂質(タンパク質20%・糖質10%・脂質70%)のエサを食べるグループ
- ケトン食(タンパク質10%・糖質1%未満・脂質89%)を食べるグループ
3つのグループの摂取カロリーは同等(11.2~11.9kcal/日)でした。
結果
普通のエサのグループに比べて、ケトン食のグループは寿命が中央値で13.6%延びました。 13.6%という寿命の延びは、ヒトで言え7~10年間に相当します。
特筆すべきは、ケトン食を与えられたグループは健康に年をとっていったという点です。 他のグループのマウスに比べて、年を取ったときの身体能力や記憶力が高かったのです。 ケトン食を与えられたグループはさらに、老化に伴う慢性炎症も低レベルで、ガンの発生率も低い傾向にありました。
低糖質・高脂質のエサを与えられた2のグループは、寿命や健康面の多くにおいて普通のエサのグループとケトン食のグループの中間といったところでした。
2つ目の研究
バック老化研究所の研究でも、ケトン食によって高齢マウスの記憶力が改善し、早死のリスクが低下するという結果になっています。
研究の方法
こちらの研究でも、一群のマウスを複数のグループに分けて、普通のエサ・低糖質・高脂質のエサ・ケトン食のいずれかを与えるという実験を行いました。
ケトン食はマウスが1才(ヒトの中年に相当する)になった頃から断続的に与えられました。 断続的に与えたのは、ケトン食でマウスが太らないようにするためです。
結果
ケトン食を与えられたマウスは、寿命は他のマウスと変わらなかったものの1才から2才にかけて死亡することが少なく、2才になってからも1才のときと同程度以上の記憶力を誇りました。