幹線道路の近くに住んでいると腎機能が低下する

(2013年5月) 米国で行われた研究で、住んでいる場所が幹線道路に近いほど、腎機能に悪影響のあることが示されました。

研究の方法
1999~2004年の間に脳卒中で入院した患者 1,100人の入院時に血中のクレアチニン濃度を計測しました。 患者たちの半数は幹線道路の1km圏内に住んでおり、もう半数は1~10km圏内に住んでいました。
クレアチニン
クレアチニンは筋代謝の副産物で、腎臓の糸球体濾過によりフィルターにかけられて体外に輩出されます。 この糸球体濾過の効率のことを糸球体濾過量(GFR)といい、腎機能を測る際の目安として用います(数字が大きいほど健康)。
結果

年齢・性別・人種・喫煙習慣・基礎疾患の有無・心臓疾患治療の有無・居住エリアの裕福度などの要因を考慮したうえで、幹線道路の最も近くに住んでいる人でGFRが最低であることが示されました。

幹線道路から50mの場所に住んでいるグループでは、幹線道路から1,000m離れた場所に住んでいるグループよりも、GFRが3.9ml/分/1.73m2(*)も低かったのです。 この3.9という数字は4年分のGFR減少に相当します。
(*) 「ml/分/1.73m2」というのはGFRの単位です。 GFRによる腎臓障害の度合いの区分は、①90以上、②89~60、③59~30、④29~15、⑤15未満となっており、⑤が腎不全に相当します。

研究グループによると、幹線道路までの距離が1,000mから50mに減ると、心血管を原因とする死亡リスクが4%、そして全死亡率(死因を問わない死亡)が1%増加します。

解説
腎臓が血管におけるプラーク(アテローム性動脈硬化の原因になる)の蓄積に弱いことから研究グループは、居住場所の道路までの距離と腎機能低下のあいだに因果関係があるとすれば、幹線道路付近に住むことで腎機能が低下し、これが心血管イベント(心臓発作や脳卒中など)のリスク増加につながっているのだろうと考えています。