腎結石の予防方法

腎結石について

腎結石は尿路結石の一種で腎臓に形成されます。 結石はミネラルの塊で、固いのはもちろんのこと尖っていることもあります。 健康な人であれば腎結石は自然に体外に排出されますが、排出されずに大きくなってしまうと尿管に詰まって激痛を引き起こします。

腎結石のリスク要因
腎結石は年齢や性別にかかわらず生じますが、男性よりも女性にできやすく40歳を超えると増加します。
腎結石は成人に多いのですが、幼児や子供にも生じます。 2014年のデータによると、米国では過去25年間のうちに子供の腎結石が6~10%増加しています。 腎結石の成分は子供でも大人でも、あまり違いません。
閉経や卵巣の摘出によってエストロゲンが減った女性でも腎結石のリスクが増加します。 それ以外の腎結石のリスク要因は、水分不足・運動不足/過剰・肥満・減量手術・塩分/糖分の摂り過ぎ・ストレス・炎症・感染症・家族歴などです。 亜鉛が腎結石の形成に関与している可能性もあります。
糖類が使われている清涼飲料水は、脱水と肥満を引き起こして腎結石のリスクが高くなる原因となります。
再発リスク

腎結石の再発リスクは、腎結石の家族歴がある人・血尿が見られる人・(カルシウムではなく)尿酸でできた結石ができたことのある人などで増加します。 腎結石になった人は50%の確率で5年以内に腎結石が再発します。

水分補給

脱水症状は、腎結石の一般的な原因のひとつです。 結石は水を多く飲むと形成されにくくなります。 米国の内科医師会や Mayo Clinic は、1日に2~2.5リットルの尿が出る程度の量の水分を摂取することを推奨しています。

どんな飲み物で水分を補給するか?

基本的には普通の水を飲めば十分なのですが、水以外では、自家製の(市販の粉末でない)レモネードか緑茶がお勧めです。

レモネード

レモネードの原料のレモンに含まれるクエン酸が腎結石の成長を阻害してくれます。 デューク大学の研究で、慢性的な腎結石の患者に食生活にレモンを取り入れてもらったところ、1年間のうちに形成される結石の数が平均1個から0.13個にまで減るという結果になっています。

緑茶

"International Urology and Nephrology"(2017年)に発表された研究で、20代の男性12人に緑茶を飲ませて尿中に排出されるシュウ酸(腎結石の原因となる)の量が増えるという結果になっています。

避けるべき飲み物

一方、腎結石予防の観点からは飲むべきでない飲み物もあります。 それは、砂糖が大量に入った飲み物と紅茶です。

ホウレン草に含まれるシュウ酸が腎結石の原因となることは知られていますが、紅茶に含まれるシュウ酸塩も腎結石の原因になるとする研究があります。 また、砂糖が大量に入った飲み物で腎結石のリスクが増加するのは、砂糖で飲み物の濃度が高くなりすぎると本来なら尿に溶けて排出されるはずの物質が尿に溶けきれなくなり、そうした物質が結石の形成を助長するためです。

そして、こういう濃度うんぬんの話を聞くと、結石を予防する目的で水分を摂る場合には、ミネラル分を多く含む硬水よりも軟水を飲むほうが良いのではないかと思いますが、実はそうではありません。 その理由については次をごらんください。

カルシウムを積極的に摂る

腎結石の形成において悪いのはカルシウムではなくシュウ酸で、カルシウムはこのシュウ酸を良く吸着するため、消化管中に存在するカルシウムが多いとシュウ酸が血流中に吸収されて腎臓や胆管に届く前のお腹の中の時点で、カルシウムがシュウ酸を吸着して体外に排出してくれます。

したがって、結石予防という観点からはカルシウムを積極的に摂取するのが望ましく、摂取量は 1,000~1,200mg/日が良いそうです。 カルシウムを摂って腎結石を予防しましょう)

また、女性の場合には、カルシウムが不足していると副甲状腺ホルモンの分泌に異常が生じ、それが原因となって間接的にも腎結石のリスクが増加します。

上で「結石を予防するうえでは軟水よりも硬水が良い」と述べたのは、軟水よりも硬水のほうが含まれているカルシウムの量が多いからだというわけです。

サプリメントは逆効果?

ただし、結石予防が目的である場合には、カルシウムの補給方法としてサプリメントを利用するのは逆効果かもしれません。 複数の研究でカルシウムのサプリメントによって腎結石のリスクが逆に増加するという結果になっています。

食事に含まれるカルシウムが結石予防に有効なのにカルシウムのサプリメントでは逆効果となる理由は明確にはわかっていませんが、カルシウムを食事の一部として摂取した場合には、カルシウムがシュウ酸塩と同時に腸内に存在するために、腸によるシュウ酸塩の吸収を阻害する効果もたらすのではないかと考えられています。

その他
腎結石の予防には以下のような生活習慣も有効だと思われます:
  • シュウ酸の摂取量を抑える
    腎結石の予防においては、シュウ酸の摂取量よりもカルシウム摂取量などの方がインパクトが大きいと思われますが、シュウ酸の摂取量も少ないに越したことはありません。 シュウ酸は、ホウレン草や紅茶の他にも、ビート(サトウダイコン)・多くのナッツ類・チョコレートなどに多く含まれています。
  • 縄跳び、ジャンプ
    結石の自然排斥を促すのには、ジャンプや縄跳びといった衝撃が加わる運動が適しています。 ウォーキングなどの軽い運動でも腎結石の予防効果があるとする研究もあります。
  • ダイエット
    ハーバード大学の研究に、肥満によって腎結石のリスクが、男性では33%、女性では100%(2倍に)増加するという結果になったものがあります。
  • 塩分と動物性タンパク質を控え目にする

    米国の Mayo Clinic によると、腎結石のリスクを下げるには、塩分と動物性タンパク質の摂取量を減らすのが良いそうです。 動物性タンパク質を減らした分は大豆などの植物性タンパク質で補うようにします。

    一方、ハーバード大学医学部によると、塩分とタンパク質はほどほどの量を摂るのが良さそうです。 低塩分の食事をしているとカルシウムとシュウ酸の排泄量が減少してしまいます。 また、タンパク質にはカルシウムとシュウ酸の排泄量を増加させる作用がありますが、食事に含まれるタンパク質の量が多過ぎると、尿中にあって結石の形成を阻害する物質の量が減少する可能性があります。
  • ビタミンCを摂り過ぎない
    スェーデンで行われた研究によると、ビタミンCのサプリメントを日常的に服用している男性では、腎結石のリスクが増加します。 ビタミンCを 毎日 1,000mgほど服用している男性では、サプリメント類を一切使用していない男性に比べて、腎結石になるリスクが二倍になっていました。 女性についても同じことが言えるかどうかは不明です。
  • 食物繊維・果物・野菜を積極的に摂る

    閉経後の女性を対象に行われた研究で食物繊維・果物・野菜で腎結石の発症リスクが低下するという結果になったものがあります。 ただし腎結石の再発に関しては、統計学的に有意と言えるほどにはリスクが低下していませんでした。

    別の研究では、全粒穀物などに豊富に含まれているフィチン酸という物質により腎結石のリスクが低下する(37%)ことも示されています。
  • 果糖の摂取量を控える
    上記と矛盾しているように思えますが、ハーバード大学の 2007年の研究に果糖の摂取によって腎結石のリスクが増加するという結果になったものがあります。 ただし、果糖は果物にばかり含まれているわけではなく、砂糖の成分の半分は果糖ですし、清涼飲料水に使用される高果糖液糖にも果糖が大量に含まれています。 果糖を摂り過ぎる原因としては、果物よりも砂糖や清涼飲料水が大きいでしょう。
  • リン酸の摂取量を抑える

    リン酸が添加されたコーラなどの清涼飲料水を飲む量を減らすことによって結石の再発リスクが減少するという結果になった研究もあります。 リン酸には食品を酸性に傾ける作用があります。

    果糖の摂取量を控えるというのと併せて、腎結石の予防には清涼飲料水を飲まないようにするのが効果大ということになります。
  • アルカリ性の食事を心がける
    アルカリ性の食事には、シュウ酸カルシウムや尿酸を成分とする結石の形成を抑制する効果があります。 野菜・果物・海藻・キノコ・干し椎茸・大豆などがアルカリ性の食品です。 前述のカルシウムにも食品をアルカリ性に傾ける性質があります。 逆に、動物性タンパク質は食事を賛成に傾けてしまいます。
  • メラミン食器に気を付ける
    子供向けのプラスチック製の食器によく使われているメラミンも腎結石のリスク要因となることが知られています。
  • 再発防止にはマグネシウムとビタミンB6
    腎結石の原因の80~90%はカルシウムを原因とするカルシウム結石ですが、マグネシウムを200mg/日、ビタミンB6を25mg/日服用することによってカルシウム結石の再発リスクが90%も低下するという結果になった研究があります。 ただし、ビタミンB6の摂取量が多くても腎結石のリスクは減らないという研究もあります。