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運動をすると、ストレスで生じる物質が脳に入れなくなる

(2014年9月) "Cell" 誌に掲載された Karolinska Institutet(スェーデン)が行ったマウス実験で、ストレスを原因とする鬱症状に運動が有効である理由の解明が進みました。 運動によって、ストレスにより血中に蓄積し脳に有害となる物質が排斥されるというのです。

研究の内容
この研究では、普通のマウスと、遺伝子改造により筋肉中の PGC-1α1 の量を増やしたマウスに、5週間にわたってストレス(騒音や光の点滅、睡眠リズムの撹乱など)を与えるという実験を行いました。 その結果、普通のマウスが鬱症状的な行動を示したのに対して、PGC-1α1 を強化したマウスは示しませんでした。
PGC-1α1
PGC-1α1 は、運動により骨格筋(内臓や心臓の筋肉ではない、いわゆる普通の筋肉)において増加することが知られています。
PGC-1α1 を強化した遺伝子マウスでは KAT と呼ばれる酵素が増加しており、この酵素によってキヌレニンというストレス物質がキヌレン酸へと変換されていました。
キヌレニン
キヌレニンはストレスによって血中濃度が増加します。 精神疾患の患者でキヌレニンの体内量が増加することが知られています。 キヌレン酸は(キヌレニンと違って)脳に入ることができません。 (参考記事: 睡眠不足によって脳への関門が壊れ、神経毒性を持つ血流中の物質が脳に入る
マウスにキヌレニンを投与するという実験でも、普通のマウスがそれによって鬱症状的な行動を示したのに対して、PGC-1α1 を強化したマウスは鬱症状的な行動を示しませんでした。 PGC-1α1 を強化したマウスでは、KAT によってキヌレニンが速やかにキヌレン酸へと変換されるために、キヌレニンの血中量が増加することすらありませんでした。

研究者は次のように述べています:

「骨格筋には解毒作用のようなものがあり、それが活性化されることで脳が有害物質と精神疾患から保護されるようです」