低炭水化物・高脂肪の食事は糖尿病予防に不向き?

(2016年2月) "Nutrition and Diabetes" 誌に掲載されたメルボルン大学の研究(マウス実験)で、低炭水化物・高脂肪の食事を8週間続けるだけで体重が大きく増えたり健康に問題が生じたりするという結果になりました。

研究の方法
糖尿病前症の症状が出ている肥満マウスを2つのグループに分けて、一方のグループには普通のエサを与え、もう一方のグループには低炭水化物・高脂肪のエサ(*)を与えました。
(*) カロリーの81%を脂肪分(飽和脂肪55%・一価不飽和脂肪37%・多価不飽和脂肪8%)が占め6%を炭水化物(ショ糖)が占めるエサ。 普通のエサよりもカロリーは高かったが、その分食べる量が少ないため摂取カロリーは普通のエサのグループよりも少なかった。 普通のエサは脂肪分がカロリーの10%で炭水化物が70%。
結果

8週間後、低炭水化物・高脂肪のエサを食べたグループは体重が増え、耐糖能障害が悪化し、インスリン値が増加していました。 このグループの体重の増加幅は15%で、体脂肪率も2%から4%へと増加していました。

解説

8週間で体重が15%増えるというのは、例えば50kgの人がわずか2ヶ月間のうちに7.5kgも体重が増えるということです。

このようなペースで体重が増えると、血圧や精神面(抑鬱や不安感)に影響が生じたり、骨や関節に問題が生じる恐れもあります。

コメント
オーストラリア糖尿病学会の会長も務める研究者は次のように述べています:
パレオ・ダイエットなどに代表される低炭水化物・高脂肪の食事法は、すでに肥満している人や運動不足の人には推奨できません。 糖尿病患者にとっては危険である可能性がありますし、糖尿病前症の人であれば血糖値とインスリン値が増加して本格的な糖尿病を発症してしまうかもしれません」
「低炭水化物・高脂肪の食事が人気になっていますが、このような食事が有効であるという科学的なエビデンスは存在しません。 運動をしていない人がこのような低炭水化物・高脂肪の食事をすると太る可能性が大です」

「パレオ・ダイエットでは炭水化物を取らずに脂肪をたっぷり取ります。 そして今回の研究ではパレオ・ダイエットを模したエサをマウスに与えましたが、体重その他に一切の改善は見られず、むしろ悪化しました。 つまり、脂肪の摂り過ぎは良くないということです」

「糖尿病前症や糖尿病の人にお勧めなのはメディテラネアン・ダイエットです。 メディテラネアン・ダイエットは科学的にも裏付けられています」