ご褒美と睡眠で学習効果アップ

(2015年10月) "eLife" 誌に掲載されたジュネーブ大学の研究で、学習効果を高めるのに報酬が有効で、特に昼寝と組み合わせると良い結果になりました。

研究の方法
18~30才で報酬への感受性が同程度の男女31人(女性16人)に6枚の画像(家具や風景など)のうちいずれか2枚から成る5つの画像ペア(ソファーと枕など)を見せて覚えてもらうという試験を8回行いました。 被験者たちには、8回のうちの4回は報酬が高く残りの4回は報酬が低いと伝えられました。
被験者が画像を覚えている最中に、fMRIで脳をスキャンしました。

そして被験者を2つのグループに分けて、一方のグループには90分間の睡眠を取ってもらい、もう一方のグループにはそのあいだ眠らず安静にしていてもらいました。

そして90分後に再び画像ペアのテストを行いました。 3ヵ月後にも同様のテストを抜き打ちで行いました。

結果

睡眠グループと安静グループのどちらでも、報酬が高く設定された画像のほうがテストの成績が良好でした。 また、睡眠グループの方が報酬に関わらず全般的に成績が良好でした。

興味深いことに、3ヵ月後の抜き打ちテストでは睡眠グループでのみ報酬が高い画像の方が成績が良好でした(安静グループでは報酬の高低による成績の違いが見られなかった)。

脳スキャンの結果

睡眠グループのほうが海馬(記憶に関与する脳の領域)の活動が活発でした。 3ヵ月後の時点でも、睡眠グループのほうが海馬・内側前頭前皮質・線条体の間の接続性が増していました。 この3つの脳領域は記憶固定と報酬処理に関与しています。

解説

今回の研究では、報酬が関わる記憶が睡眠によって優先的に強化されることが明らかになりました。 学習後に短時間の睡眠を取るだけでも有益だと考えられます。

研究者は次のように述べています:

「記憶固定において自らの繁栄と生存にとって重要となる情報が優先されるというのは(進化論的な意味での)適応という点からも筋が通っています」

「学習中の脳において報酬が標識となって情報に印をつけ、そのような印がつけられた情報が睡眠中に優先的に記憶固定の対象とされて長期記憶を担当する脳の領域に運ばれるのかもしれません」