レプチンは肥満の原因ではない?

(2015年5月) "Cell Metabolism" 誌に掲載されたシンシナティ大学(米国)の研究によるとレプチンは肥満の原因ではないと思われます。

レプチンとは
レプチンは脂肪細胞において作られるホルモンで満腹感に関与しています。 レプチンは栄養を摂ったときに生産され「栄養が足りているよ」という信号を脳の視床下部に送ります。 この信号によって食欲が失せるわけです。
レプチンと逆の作用を持つのがグレリンという胃で作られるホルモンです。 グレリンには食欲を増進する作用があります。
これまでの経緯
レプチンの存在はまずマウスで確認されました。 特定の遺伝子を持つ肥満マウスではレプチンが全く生産されておらず常に空腹であるために非常に肥満していましたが、レプチンを投与することによって過食が治まり体重が減り始めました。
レプチン確認のきっかけとなったのが遺伝子的にレプチンが欠如しているマウスだったというだけで、肥満マウスでは必ずレプチンが欠如しているということでは無いのでしょう。

一方ヒトの肥満者では、レプチンが欠乏しているどころか通常よりも多量に存在していました。 そこで、肥満者では肥満に対抗するためにレプチンの生産量が増加しており、そのために肥満者の脳が満腹感のシグナルを受け取るには通常よりも多量のレプチンが必要とされるのではないかという仮説が立てられました。

ところがその後に行われた予備的な臨床試験で、肥満者にレプチンを投与しても食欲に変化は無く肥満も治らないという結果でした。 そのため、肥満とはレプチン耐性が生じた状態であると結論付けられていました。
満腹感を感じるのにレプチンを多量に必要とするどころかレプチンが多量に存在していても満腹感を感じられないのが「レプチン耐性」という状態なのでしょう。
今回の研究
今回の研究では、肥満マウスだけでなく普通体重のマウスでもレプチンの作用を遮断してみました。 その結果、どちらのマウスでも同程度に食べる量が増えて体重が増えました。 この結果により、肥満マウスでもレプチンの作用が損なわれていないことが証明されました。
肥満マウスでレプチンが効かないようにするとさらに食事量が増えてさらに太ったので、肥満マウスはレプチンの肥満抑制効果が発揮されたうえでなお太っているということなのでしょう。
この話のまとめ
「これまでの経緯」によると、これまでに明らかだったのは次の3点:

  • レプチンが満腹感をもたらす。
  • 肥満者にはレプチンが多い。
  • 肥満者にレプチンを投与しても肥満は治らない。

そして今回のマウス実験で、肥満マウスでもレプチンは効果を発揮している(それなのに太っている)という結果に。