ER+乳ガンの患者はロイシンの摂取量を減らすと良い?

(2019年4月) "Nature" 誌に掲載された Beth Israel Deaconess Medical Center の研究(細胞実験)によると、アミノ酸の一種であるロイシンがエストロゲン受容体陽性(ER+)の乳ガンに影響する可能性があります。 出典: Newswise

ロイシンについて

ロイシンは20種類あるアミノ酸の一種です。 そして、体内で合成できないために食品から摂取するしかない9種類の必須アミノ酸のうちの1つです。 動物性タンパク質は植物性タンパク質よりもロイシンを多く含有しています。 牛・鶏・豚・魚の肉はどれもロイシンを豊富に含んでいます。

ロイシンの量が乳ガンの増殖を左右

ER+乳ガンの細胞を培養したものを用いた実験で、ロイシンの量を減らすと乳ガン細胞の増殖が抑制され、ロイシンの量を10倍に増やすと乳ガン細胞の増殖が促進されました。

タモキシフェンへの耐性を有する乳ガンの場合

タモキシフェン(ER+乳ガンの治療によく用いられる抗がん剤)への耐性が生じている乳ガン細胞は、ロイシンの量が少なくても増殖し続けました。 こうした乳ガン細胞では、SLC7A5と呼ばれロイシンを細胞内へと輸送するタンパク質が大量に細胞表面に存在しました(SLC7A5が多いとロイシンの吸収効率が増すために、ロイシンが少ない環境でも問題ないということでしょう)。

ER+乳ガン細胞でSLC7A5を増やすだけでロイシン吸収量が増加してタモキシフェンへの耐性が生じました。 そして、化学物質を用いてSLC7A5を阻害するだけでマウスのER+腫瘍が小さくなりました。

低ロイシン食?

研究グループは目下のところマウス実験で、ロイシンの摂取量を制限する食生活によりER+乳ガンの成長を防いだり抗ガン治療の効果を増したりできないかを調べています。

研究者は次のように述べています:
「今回の発見により、低ロイシン食がER+乳ガンの患者に有益である可能性が開けました」
タンパク質の摂取量を制限すると必要な栄養を摂るのが難しくなりますが、ロイシンの含有量が少ない植物性タンパク質を利用する食生活はER+乳ガン患者に有益かもしれません(ただし低ロイシン食が一般に推奨されるのは、臨床試験でその有効性と安全性が確認されてからです)。
食品成分ランキングを見るとロイシンは大豆にも豊富に含まれているようです。 豆腐は鶏肉に比べてロイシンの含有量が1/3ほどですが、タンパク質の含有量も1/3ほどです。 自分で低ロイシン食を実践するのは難しそうです。