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レクサプロとプロザックでは胎児への影響が異なる?

(2014年12月) "Neuropsychopharmacology" 誌オンライン版に掲載されたカリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究によると、同じ SSRI系の坑鬱薬であってもレクサプロとプロザックでは、妊娠中に服用したときの胎児への影響が異なる可能性があります。

この研究で、妊娠27週目以降に相当する妊娠中のマウスにレクサプロ(エスシタロプラム)またはプロザック(フルオキセチン)を投与したところ、両者が同じ系統の薬であって作用も同じであるはずなのに、マウスの胎児が思春期に相当する年齢以降にまで育ったときの不安行動に違いがあったのです。
SSRI系坑鬱薬
プロザックやレクサプロなどの SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)は、セロトニン・トランスポーター(セロトニン輸送体)と呼ばれるタンパク質の働きを遮断することによって作用します。 セロトニン・トランスポーターには、神経伝達物質であるセロトニンを神経細胞と神経細胞のあいだの信号伝達空間Wikipediaの画像で "synapse cleft" と呼ばれている部分でしょう)から取り除くという役目があります。
詳細
レクサプロを投与したマウスの子供は、セロトニン神経伝達に恒久的な変化が生じており、プロザックを投与したマウスの子供に比べて不安行動をあまり示しませんでした。 すなわち:
  • 胎児のときにレクサプロに暴露したマウスでは、腹側海馬においてセロトニン系の機能が低下し、思春期以降における不安感様の行動が減少していました。
  • 胎児のときにプロザックに暴露したマウスは、遺伝子改造によりセロトニン・トランスポーターを不足させたマウス(*)に幾分似た不安行動を示しました。 ただし遺伝子改造マウスと違って、このマウスでは海馬における成人後のセロトニン伝達に変化は見られませんでした(セロトニン系の機能が低下していなかった)。

(*) 今回の研究では、マウスの遺伝子を改造して脳内のセロトニン・トランスポーター量が少ないあるいは欠如しているマウスを作るという実験も行いました。 このように遺伝子を改造したマウスではセロトニンが過剰(hyperserotonemia)となり、一生を通じて不安行動が増加していました。

遺伝的な原因によるセロトニン・トランスポーターの不足は、特に生活上のストレスと組み合わさったときに、不安感や気分障害のリスク要因になると考えられています。
コメント
研究者は次のように述べています:
「この結果には非常に驚きました。 プロザックやレクサプロは同じ種類の薬で作用のメカニズムも同じであると考えられてきたのですから。 今回の研究を出発点として、妊娠中の女性も安心して使える坑鬱薬が開発されるかもしれません」
米国では女性の15%が妊娠中に不安感や抑鬱症状を訴え、胎児の時点で抗鬱剤に暴露される子供が5%にのぼります。