低脂肪食で一部の乳ガン患者の生存率が向上

(2014年12月) San Antonio Breast Cancer Symposium で発表された Harbor-UCLA Medical Center などの研究で、低脂肪食を続けることによって一部の乳ガン患者の生存率が向上するという結果になっています。

研究の方法

この研究では、外科手術を受けた後に腫瘍のタイプに応じてホルモン療法、化学療法、および放射線療法を組み合わせた治療を受けている乳がん患者 2,437人を2つのグループに分けて、一方のグループ(975人)にのみ脂肪の摂取量を減らしてもらいました。 もう一方のグループには、それまでの食事を続けてもらって、低脂肪食の効果を比較するためのコントロール・グループ(対照群)となってもらいました。

2,437人の当初の脂肪摂取量は平均で総摂取カロリーの29.6%というものでしたが、低脂肪食を心掛ける975人では、これを15%にまで引き下げることを目標にしてもらいました。

結果

試験開始から6年後、低脂肪食のグループの脂肪摂取量は総摂取カロリーの23%にまで落ちていました(体重も平均で2.7kgほど落ちていた)。 これに対してコントロール・グループの脂肪摂取量は31.4%にまで増加していました。

  • データ全体では統計学的に有意ではなかった

    低脂肪食によるものと思われる効果は5年目から現れており、この時点でのコントロール・グループの死亡率が7.3%だったのに対して、低脂肪食グループの死亡率は6.6%(10%近い低下)になっていました。 両グループの死亡率の違いは時間が経つほどに大きくなってゆき、2013年末の時点ではコントロール・グループの死亡率17%に対して低脂肪食グループは13.6%(20%の低下)でした。 ただし、これらの数字はいずれも統計学的には有意とは言えません。

  • 乳ガンの種類を限定すると有意な結果に

    しかしながら、エストロゲン受容体を持たないタイプ(エストロゲン受容体陰性)の乳ガンの患者のデータに限定して両グループを比較すると、コントロール・グループに比べて低脂肪食グループでは死亡率が36%低下しているという統計学的にも有意な結果が得られました。

    さらに、エストロゲン受容体に加えてプロゲステロン受容体も持たない(エストロゲン受容体陰性かつプロゲステロン受容体陰性)タイプの乳ガンの患者のデータに限定して両グループを比較すると、コントロール・グループに比べて低脂肪食グループでは死亡率が56%も低下していました。
今回の研究のデータには、患者の乳ガンが HER2(ヒト上皮成長因子受容体2)(*) に関して陽性か陰性かという情報は含まれていませんでした。
(*) HER2 陽性の乳ガンとは、HER2という遺伝子に変異が生じているタイプの乳ガン腫瘍を指します。 エストロゲン受容体とプロゲステロン受容体に加えて HER2 も陰性の乳ガンが「トリプルネガティブ乳ガン」と呼ばれます。 トリプルネガティブ乳ガンはタモキシフェン(エストロゲンを阻害する)やハーセプチン(HER2 に作用する)などの抗ガン剤が効きません。