低周波騒音で知らないうちに聴覚にダメージ

(2014年10月) "Royal Society Open Science" に掲載されたドイツの研究により、低周波騒音がヒトの耳に及ぼす悪影響が従来考えられていたよりも深刻であることが明らかになりました。

この研究では、正常な聴覚を有する男女21人(女性13人、男性8人。 18~26才で平均年齢は21才)に、ヒトの耳ではほとんど捉えられない30ヘルツの低周波(ヒトの可聴域は20~2万ヘルツ)を80デシベルで90秒間にわたって聞かせた後に、高感度マイクを用いて内耳が働く際の副産物である自発耳音響放射(SOAE)により発せられている音を拾いました。

SOAE は通常、短期間であれば非常に安定しているのですが、低周波を聞かされた被験者では、SOAE が発する音が強くなったり弱くなったりしており、この揺らぎが治まるまでに約3分間を要しました。

この結果は非常に気懸かりです。 というのも、過去の研究において不安定な SOAE が聴覚へのダメージに関係している可能性が指摘されているからです。 聴覚が完全に失われるている人では SOAE も消滅してしまいます。

ただし、今回の研究だけで、低周波騒音によって聴覚が完全に失われて元に戻らないと断定することはできません。 しかしながら研究グループは、「騒音を騒音と感じていなくても聴覚に被害が生じている可能性があるというエビデンス(科学的な証拠)が示された」と述べています。

低周波はエコキュート風力発電で騒音が問題になっているほか、ヘリコプターや飛行機などの騒音や、バイクのエンジン音にも低周波が含まれています。 これらの騒音源で、低周波単独の音量が今回の研究のような80デシベルという大音量となることはないでしょうけれど、騒音はやっぱり迷惑ですね(参考URL:低周波音と健康被害 )。 日本は騒音に寛容すぎると思います。