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メチオニン制限食でトリネガ乳ガンへの抗体治療の効果がアップ?

(2015年7月) "Clinical Cancer Research" 誌に掲載されたウィスコンシン大学の研究によると、メチオニンといアミノ酸の一種の摂取量を制限することによってトリプル・ネガティブ乳ガンに抗体治療が効きやすくなるかもしれません。
メチオニン
メチオニンは必須アミノ酸であり、体内では合成できないため食事から摂る必要があります。 メチオニンは卵・魚・肉などの動物性食品に多く含まれているほか、豆類やナッツ類にも含まれています。 野菜や果物にはあまり含まれていません。

メチオニンの欠乏により多数の種類のガンの成長が阻害されることは数十年前から知られていましたが、そのメカニズムはよくわかっていません。

研究の内容
細胞実験

トリプル・ネガティブ乳ガンの細胞からメチオニンを除去したところ、それによってストレスを受けたガン細胞の表面において TRAIL-R2(TRAIL受容体2)と呼ばれる受容体の量が増加し、TRAIL-R2 と結合してガン細胞の死滅を引き起こす抗体に対する乳ガン細胞の感受性が大いに増大しました。 その一方で、健康な細胞ではメチオニンの欠乏によっても TRAIL-R2 受容体の量が同じようには増えていませんでした。

マウス実験

トリプル・ネガティブ乳ガンを発症しているマウスにメチオニンを含有しないエサを与えたうえで TRAIL-R2 に結合する抗体で治療したところ、抗体治療だけのグループやメチオニン枯渇療法だけのグループよりも抗体の効果(腫瘍の縮小と肺への転移阻止)が増大していました。

今回の研究の意義

今回の研究により、メチオニン制限食と TRAIL-R2 モノクローナル抗体とを組み合わせた治療法の臨床試験の下準備が整ったと思われます。

過去に行われた臨床試験ではTRAIL-R2 抗体はそれだけでは転移性固形腫瘍の患者にほとんど効果がありませんでしたが、短期的なメチオニン制限食と組み合わせることで TRAIL-R2 抗体の効果が増すのではないかと研究者は期待しています。 ヒトは短期的であればメチオニンを含まない食事にも耐えられます。