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「自分は社会的な地位が低い」と感じている人はカロリーを大量に摂りたがる

(2016年12月) "PNAS" 誌に掲載された南洋理工大学(シンガポール)などの研究によると、「他の人たちに比べて社会階級が低い」と感じているだけで食欲と食事量が増えます。

実際の社会的な地位にかかわらず、本人が「自分の社会的な地位が低い」と感じているとカロリーを過剰に摂取してしまうというのです。

研究の方法

様々な社会経済的状態(収入・職業・学歴など)を架空的に体験させるという実験を行いました。

結果

低い社会経済的状態を体験した被験者は中程度あるいは高い社会経済的状態を体験した被験者に比べて、ピザやハンバーガーなど高カロリーの食品を好むようになり、間食などで摂取するカロリーも増えました。 金銭面での不自由さに差が存在しない場合にも同様でした(*)

(*) 例えば、貧乏であっても貴族であればカロリー摂取量は多くないということでしょう。 「武士は食わねど高楊枝」という諺が頭に浮かびます。
解説
社会的な動物においては、社会階級が低い個体がカロリーを多く摂取し体重が増えやすいという現象が見られます。 その理由として考えられている説は「社会階級が低いために環境に対応するためのリソース(*)が乏しいのをカロリー摂取で補おうとしている(†)のではないか」というものです。

(*) ヒトで言えば、衣服・住居・エアコンなどでしょうか。

(†) 「厳しい環境で生き残るために、とりあえず食っとけ」という意識が働くということでしょうか。
また人間では、肥満者や糖尿病患者が社会経済的状態の低い層に大きく偏っていることが知られています。 社会経済的状態の低い層に肥満者や糖尿病患者が多いのは単に、健康的な生活を維持するのにコストがかかるからかもしれませんが、「自分は社会階級が低いのだ」という認識に起因する摂取カロリーの増加が肥満や糖尿病の増加を助長している可能性も考えられます。