ヒ素+エストロゲンは、それぞれが安全基準値以下でも有害

(2013年6月) ヒ素とエストロゲンはいずれも低量では発ガン性がほぼありませんが、"The Prostate" 誌に掲載された米国の大学の研究によると、これらの物質が2つ同時に存在する場合には、それぞれが十分に安全だと考えられる量であっても前立腺ガンのリスク要因となります(前立腺ガンのリスクが2倍になる)。出典: Researchers’ Epigenetics Study Discovers Cancer Risks Double When Two Carcinogens Present at ‘Safe’ Levels

研究の方法

ヒトの前立腺細胞を6ヶ月間にわたって週に1度、①ヒ素、②エストロゲン、そして③ヒ素およびエストロゲンの3通りで処置しました。 大部分の試験(様々な濃度で①~③の試験を繰り返した)では、ヒ素とエストロゲンの濃度は政府当局が定める安全基準値以下でした。

結果

ヒ素とエストロゲンを組み合わせた場合に(それぞれが安全基準値以下でも)、MLH遺伝子(細胞が損傷を受けたときに自滅プロセスを開始せよという信号を送る)の発現が停止されることが明らかになりました。

このように遺伝子の発現(遺伝子の設計図に基づいてタンパク質を作ること)が停止することを「DNA過剰メチル化」と言います。

解説
既存の安全基準の大部分は単一の化学物質ごとに定められているため、今回の発見により健康基準が変更される可能性もあります。 研究者は次のように述べています:
「ガンの過半数は環境的な要因が原因であって、遺伝的な要因によるものは5~10%に過ぎません。 化学物質の発ガン性に関する安全基準値は単一の化学物質ごとの試験により決定されますが、現実には私たちは何種類もの化学物質に同時に曝されています」
エストロゲンはヒトの体内で自然に生産される女性ホルモンです。 今回の話でいう「エストロゲン」は、ヒトの体内で生産される天然のエストロゲンではなく、ビスフェノールA(BPA)などの人工エストロゲン様物質を主に指すように思います。