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ビタミンD不足で認知症のリスクが増加する恐れ

(2017年10月) ビタミンDに脳神経を保護する効果があるのではないかと考えられていますが、"Journal of Alzheimer's Disease" に掲載されたエラスムス医療センター(オランダ)の研究で、ビタミンD血中濃度が低い人は認知症になるリスクが高いという結果になりました。

研究の方法

55才超の男女 6,220人のビタミンD(25-ヒドロキシビタミンD)の血中濃度を検査して、ビタミンD血中濃度と認知症のリスクとの関係を調べました。

データの分析においては、年生・性別・ビタミンD血中濃度を検査した季節・人種・健康状態などを考慮しました。

結果

追跡開始の時点で認知症だったのは127人でした。 認知症の人と健常者とでビタミンDの血中濃度を比較したところ、認知症の有無とビタミンD血中濃度との間に統計学的に有意な関係は見られませんでした。

さらに、追跡開始の時点で認知症ではなかった 6,087人を対象に、認知症の発症状況を平均で11年間超にわたり追跡調査したところ、追跡期間中に795人が認知症と診断されました。 このうちアルツハイマー病だったのは641人でした。

そして、この11年間にわたる追跡調査のデータを分析したところ、ビタミンD血中濃度が標準偏差の数字のぶん低くなるごとに認知症のリスクが11%高くなるという結果となりました。 アルツハイマー病に限ると、この数字は13%でした。

ビタミンDの補給

ビタミンDは食品にも含まれていますが、日光が皮膚に当たることで主に補給されます。 日光に含まれる紫外線B波が皮膚に当たることでビタミンDが合成されるためです。

国立環境研究所(茨城県つくば市)の研究によると、冬の札幌でも76分間の日光浴で成人が1日に必要とする量のビタミンDを作れます。 スペインのバレンシアで行われた研究では、真冬の1月に 1,000IUのビタミンDを得るには130分間の日光浴が必要だという結果になっています。

十分なビタミンDを得るのに必要となる日光浴の時間は、服装(長袖か半袖かなど)や姿勢の影響を受けるので、日光にさらされる皮膚の範囲が狭ければ必要となる日光浴の時間が長くなります。 一般的には、日光に当たりすぎてもビタミンDが過剰に作られる心配はありません。

関連研究

  • 2013年に発表されたケンタッキー大学の研究では動物実験で、ビタミンDが不足するとフリーラジカルのために脳にダメージが生じて学習能力と記憶力が有意に低下することが示されています
  • "JAMA Neurology"(2015年)に掲載されたカリフォルニア大学デイビス校の研究では、60代~90代(主に70代)の高齢者382人のビタミンD血中濃度を平均5年間にわたり毎年検査して、ビタミンDが不足している場合には不足していない場合に比べて認知機能が3倍も速く衰えるという結果になっています。
  • "The Journals of Gerontology Series A"(2016年)に掲載された研究で60才以上の中国人男女 1,200人を2年間にわたり追跡調査したところ、ビタミンD血中濃度が低い場合には高い場合に比べて、認知機能が低下するリスクが2倍に増加していました。
  • "Journal of American Geriatric Society"(2017年)に掲載されたメタ分析では、26の観察研究と3つの介入研究のデータを分析して、観察研究においてのみ、ビタミンDが不足している場合には不足していない場合に比べて、認知機能が悪化するリスクが高い(+26%)という結果になっています。
  • "Neurology" 誌(2014年)に掲載されたエクセター大学の研究では、65才以上の男女 1,658人を6年間にわたり追跡調査して、ビタミンDが欠乏している場合には認知症になるリスクが53%(重度の欠乏の場合には125%)高いという結果になっています。
  • "Nutrition Journal" に掲載されたメタ分析では、2010~2015年に発表された5つの研究のデータを分析して、ビタミンDが不足気味(血中濃度が 50 nmol/L 未満)のグループは不足気味でないグループに比べて認知症になるリスクが49%高いという結果になっています。
  • 2012年に発表された米国の研究で、平均年齢71才の女性 4,100人を被験者とする試験を行ったところ、ビタミンDおよびカルシウムのサプリメントを平均8年間にわたり毎日服用しても認知症のリスク低下に効果が見られないという結果でした。