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肺ガンのリスクは運動で低下するが、職務に伴う身体活動では増加する?

(2017年9月) "Medicine" 誌に掲載された福建医科大学などの研究で、職務に伴う身体活動と運動(余暇に行う身体活動)とで肺ガンのリスクへの影響が異なるという結果になりました。

研究の方法

肺ガン患者と健常者あわせて3千人超(平均年齢59才、男性70%)のデータを用いて、身体活動と肺ガンのリスクとの関係を調べました。 データは、肺ガン患者と健常者の人数・年齢・性別が釣り合うように調整されました。

結果

仕事で高強度の身体活動を行う場合には、仕事で低強度の身体活動しか行わない場合に比べて肺ガンのリスクが35%高くなっていました。

一方、中~低強度の運動を行う場合には運動を行わない場合に比べて、肺ガンのリスクが30~40%ほど低くなっていました。 中強度の運動よりは低強度の運動(軽い軽い)のほうがリスク低下幅が大きく、さらに運動の頻度が高いほどリスクが低くなっていました。 喫煙習慣の有無・BMIカテゴリー・肺疾患の病歴の有無でデータを分けて分析すると、運動習慣があって肺ガンのリスクが低下していたのは次の場合に限られていました:
  • 喫煙者である(現在喫煙習慣がある場合にも過去に喫煙歴がある場合にも、低強度の運動習慣があると50%近くのリスク低下。運動の頻度は問わない)
  • 痩せすぎでない(普通体重者30~40%のリスク低下、肥満者は低強度の運動を行う場合にのみ40%~50%程度のリスク低下。頻度は問わない)
  • 肺疾患の病歴がある場合に低強度の運動を頻繁に行う(50%のリスク低下)
  • 肺疾患の病歴がない場合に中強度の運動を行う(30%超のリスク低下。頻度は問わない)
研究チームは、運動により肺ガンのリスクが低下する理由についてはいくつかの仮説を挙げていますが、仕事に伴う身体活動により肺ガンのリスクが増加する理由については触れていません。

類似研究

"Cancer Causes & Control" 誌(2017年3月)に掲載されたモントリオール大学などの研究でも、今回と同じような結果となっています。

このモントリオール大学の研究では、肺ガンと診断された患者 1,351人と肺ガンではない男女727人のデータを用いて身体活動量と肺ガンのリスクの関係を調べ、次のような結果となっています:
  • 運動量が最も少ないグループに比べて、運動量が最も多いグループは男女ともに肺ガンのリスクが低かった。 リスクの低下幅は、男性で-34%、女性で-45%だった。
  • 男性に限り、仕事で行う身体活動量が多いと肺ガンのリスクが96%高かった。女性では仕事で行う身体活動量と肺ガンのリスクの間に関係が見られなかった。