腸の外部にも有益な共生細菌

(2016年3月) "Immunity" 誌に掲載されたコーネル大学の研究で、腸の外部にも細菌が住んでいて体に有益な作用を及ぼしていることが明らかになりました。

腸と共生細菌

ヒトの腸内には腸内細菌と呼ばれる共生細菌が住んでいて消化や免疫機能において重要な役割を果たしていますが、腸内にあっては有益な細菌であっても腸の外部においては有害であるとこれまで考えられてきました。

普通なら腸壁を通過できないはずの腸内細菌が疾患や食品添加物(*)のために腸の外へと漏れ出すと、免疫系が刺激されて健康に悪影響が生じるためです。

健康な腸では腸の内壁がバリアとなって、腸内に住む微生物が腸の外に漏れ出さないようにしています。
今回の発見
今回の研究ではヒトやマウスにおいて共生細菌が腸外部の免疫細胞に住み着き、宿主(ヒトやマウス)の体を炎症や疾患から守っているらしきことが明らかになりました。 研究チームはこの共生細菌をLRC細菌(*)と名付けました。
(*) Lymphoid tissue-Resident Commensal bacteria(リンパ組織常在共生細菌)
研究者は次のように述べています:

「長らくの間、人体は基本的に無菌であると考えられてきました。 また、慢性的な炎症を生じさせないためには免疫系と共生細菌が物理的に隔てられていることが重要だとも考えられてきました」

「大部分の種類の共生細菌については、これらの考えは正しいでしょう。 しかしながら今回の研究では、一部の特殊な共生細菌が免疫細胞と密接に関係し、それによって細菌と宿主の双方に有益性がもたらされていることが示されました」
無菌マウスの実験

LRC細菌について詳しく知るため無菌マウスにLRC細菌を植え付けるという実験を行ったところ、マウスの体内に入ったLRC細菌は腸管の外側に位置するリンパ組織にコロニーを形成しました。

そしてそのコロニーでLRC細菌が何をしているのかを調べた結果、炎症を引き起こすどころか免疫組織における炎症応答を抑制していることが明らかになりました。

さらに、マウスの腸の組織にダメージを与えて炎症を引き起こそうとしたところ、リンパ組織ににLRC細菌を保有しているマウスはダメージから保護されました。
「LRC細菌が引き起こす免疫応答はマウスと細菌の双方にとって有益でした。 LRC細菌が引き起こす免疫応答が、マウスの組織の保護だけでなくLRC細菌のコロニー形成にとっても有利に働いていたのです」