(2017年6月) "Plos One" に掲載されたバーモント大学の研究によると、マグネシウムのサプリメントが鬱症状の軽減に有効です。 マグネシウムは気分の調節に関与する経路・酵素・ホルモン・神経伝達物質に様々な面で関わっています。
研究の方法
軽度~中程度の抑鬱症状(*)を抱える男女112人(平均年齢52才、40%ほどが男性)に6週間にわたりマグネシウムのサプリメント(†)を服用してもらい、このサプリメントを服用しなかった6週間とで抑鬱の程度を比較しました。(*) PHQ-9と呼ばれる鬱症状の尺度のスコアが5~19点。 PHQ-9のスコアが5点だと軽度の抑鬱、10点だと中程度、15点だとかなり、20点だと重度の抑鬱。
(†) 塩化マグネシウム。 摂取量は、純粋なマグネシウム(elemental magnesium)の量で1日あたり248mg。結果
マグネシウム・サプリメントを服用した期間には、PHQ-9のスコアが6点、そしてGAD-7(不安障害の尺度)のスコアが4.5点、それぞれ下がりました。
マグネシウム・サプリメントの効果は、服用開始2週間目あたりから見られ始めました。 そしてサプリメントの服用を止めてから2週間ほどで効果が薄れ始めました。
マグネシウム・サプリメントの効果は、年齢・性別・抑鬱の当初の重症度・マグネシウムの当初の血中濃度・抗うつ剤の使用しているかどうかに関わらず同程度でした。
副作用
マグネシウム・サプリメントによる副作用らしきものは認められませんでした。 マグネシウム服用の副作用として一般的な下痢にしても、吐き気・便秘・めまい・尿量増の増加/減少といった副作用にしても、サプリメントを服用した期間と服用しなかった期間とで発生頻度に差が見られませんでした。 頭痛に関しては、マグネシウムを服用していた期間のほうが発生頻度が少ないほどでした。
ただし、吐き気と倦怠感がひどいために服用開始から2週間で服用を中止した人が1名いました(試験を途中離脱したので112人の中には含まれていない)。