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鬱(うつ)の人は老けやすい恐れ

(2018年3月) "Psychoneuroendocrinology" 誌に掲載されたハーバード大学などの研究によると、抑鬱により老化が促進される恐れがあります。 鬱(うつ)病の人は細胞の老化の指標であるテロメアが短くなりやすいという結果だったのです。

テロメアとは

テロメアとは、染色体の両端にあって染色体同士が癒着したり変質したり(ガンの原因になる)しないように保護している部分のことです。 染色体が靴紐であるとすれば、テロメアは靴紐の先端のキャップに該当します。

テロメアは細胞が分裂するたびに(つまり老化により)短くなってゆき、テロメアが失われた染色体は不安定になります。 通常はテロメアが一定以下の長さになった時点で「細胞老化」により細胞が破壊されますが、このような破壊を免れた細胞はガン化します。

テロメアと健康

細胞が分裂するたびに短くなっていくというテロメアの性質のために、テロメアは肉体の老化度を知るための指標として用いられます。

また、ガン・心臓病・脳卒中・認知症・肥満・骨粗鬆症・感染症・糖尿病・高血圧・抑鬱などの病気を抱えている人はテロメアが短いというデータがあります。 こうした病気によってテロメアが短くなるのかもしれませんし、テロメアが短いとこうした病気のリスクが増加するのかもしれません。

テロメアが短くなる生活習慣

喫煙・肥満・劣悪な食事・過度の飲酒・心理的ストレス・大気汚染・酸化ストレス・慢性炎症によってテロメアが短くなるペースが速まることが複数の研究で示されています。 テロメアが短くなりやすい体質(遺伝子のタイプ)というものもあります。

研究の方法

鬱病(major depressive disorder)を抱えている、または抱えていない18~70才の男女117人のテロメアの長さを2年間の期間を空けて2回測定し、鬱病の有無とテロメアの長さの変化との関係を調べました。 データの分析においては、年齢・性別・BMIなどテロメアの長さに影響する要因を考慮しました。

結果

テロメアの長さを1回目に調べた時点で鬱病だった人は鬱病でなかった人に比べて、2年後の2回目の調査の時点でテロメアの短縮幅が大きいという結果でした。

ただし、鬱病が重症であったり鬱病である期間が長いとテロメアが短くなりやすいということはありませんでした。

類似研究

"Molecular Psychiatry" 誌(2013年)に掲載されたオランダの研究でも、2,400人以上のテロメアの長さを調べて、鬱症状を経験した人はそうでない人に比べて、4~6年分の老化に相当する程度にテロメアが短いという結果になっています。