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マラソンを走った後には大部分の人で腎臓にダメージが生じている

(2017年3月) "American Journal of Kidney Diseases" に掲載されたイェール大学などの研究によると、マラソン(42km)を走ると腎臓に一時的なダメージが生じる恐れがあります。

研究の方法

2015年に開催されたハートフォード・マラソンに参加したランナー22人(平均年齢44才)に、42kmを走る前後に血液と尿を採取させてもらい、腎臓に生じたダメージの指標となる物質を測定しました。

結果

レース終了直後の時点で、ランナーの82%において血中クレアチニン濃度がステージ1やステージ2の急性腎障害(AKI)に相当する水準にまで増加していました。 AKIでは血液から老廃物をこしとるという腎臓の機能が損なわれます。

マラソンで腎臓がダメージを受けるのは、マラソン中に以下の状態が長時間にわたり持続するためだと思われます:
  • 深部体温(臓器など体の中心部の体温)の上昇
  • 脱水
  • 腎臓への血流低下

腎臓のダメージは2日後には回復していましたが、今回の結果から、過酷な身体活動を特に温暖な気候のもとで何度も繰り返す場合には健康に長期的な悪影響が生じる恐れがあるのではないかという懸念が生じます。

関連情報
これまでの研究では次のようなことが示されています:
  • 温暖な気候のもとで鉱山での作業・サトウキビの収穫・軍事訓練などの過酷な身体活動を行うと腎臓がダメージを受ける。
  • ウォーキングなどの軽い運動は腎臓の健康に有益。
  • 十分なトレーニングを積んでいない人がウルトラ・マラソンのように極度に激しい運動をすると敗血症(血流中に細菌やその毒素が拡がることにより生じる疾患)のような状態になる。
  • マラソン参加者の半数には、マラソン後に肺水腫が生じている。 肺水腫とは肺に水分が染みだして溜まった状態のことで、息切れや酷い咳などが症状。 重症の場合には心臓発作や呼吸不全が起こることもある。
  • 非常な長距離(具体的な距離は不明)を走る習慣がある人は早死にのリスクが高い。 激しい運動を長期間にわたり毎日続けると寿命が縮むという話も。