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妊娠中のビタミンD欠乏で生まれる子供の自閉症リスクが増加?

(2017年4月) "BJ Psych Open" 誌に掲載されたクイーンズランド大学などの研究で、妊娠中にビタミンDが欠乏していると生まれる子供が自閉症になるリスクが2倍超に増加するという結果になっています。

研究の方法

4千人超の妊婦のビタミンD血中濃度を測定し、生まれた子供が自閉症となるリスクと照らし合わせました。

結果

生後に自閉症と診断された子供は68人でした。

妊娠中期の時点でビタミンDが欠乏(*)していたグループはビタミンDが十分であったグループに比べて、生まれる子供が自閉症と診断されるリスク(オッズ比)が2.4倍でした。 ビタミンDの不足が軽微(25~49.9 nmol/L)である場合には、子供が自閉症と診断されるリスクは増加していませんでした。
(*) ビタミンD血中濃度が 25 nmol/L 未満の場合を「ビタミンDの欠乏」とみなしました。 ビタミンD血中濃度は一般的に、50 nmol/L 以上であることが望ましいとされています。

妊娠とビタミンD

ビタミンDは胎児の発達(脳・筋肉・体のサイズ)にとって大切です。 妊娠中あるいは妊娠前にビタミンDが不足していると、今回の研究でも示されたように自閉症のリスクが増加する以外に、生まれる子供が注意欠陥・多動性障害(ADHD)になるリスクが増加したりする恐れもあります。

妊娠中のビタミンD補給

ビタミンDは食品にも含まれていますが、日光が皮膚に当たることで主に補給されます。 日光に含まれる紫外線B波が皮膚に当たることでビタミンDが合成されるためです。

国立環境研究所(茨城県つくば市)の研究によると、冬の札幌でも76分間の日光浴で成人が1日に必要とする量のビタミンDを作れます。 スペインのバレンシアで行われた研究では、真冬の1月に 1,000IUのビタミンDを得るには130分間の日光浴が必要だという結果になっています。

十分なビタミンDを得るのに必要となる日光浴の時間は、服装(長袖か半袖かなど)や姿勢の影響を受けるので、日光にさらされる皮膚の範囲が狭ければ必要となる日光浴の時間が長くなります。

ビタミンDとビタミンB9のトレードオフ

日光に当たりすぎてもビタミンDが過剰に作られる心配はないと思われますが、妊娠前や妊娠中には日光によるビタミンB9(葉酸塩)不足が懸念されます。 "Journal of Photochemistry and Photobiology B: Biology"(2014年)に掲載されたオーストラリアの研究で18~47才の女性45人を調査したところ、日光に当たる時間が過剰な女性はビタミンB9の血中濃度が最大で20%少なく、妊娠中に推奨されるビタミンB9血中濃度を割り込んでいたのです。

ビタミンB9は胎児の正常な発達に不可欠で、妊娠中にビタミンB9が不足すると、流産のリスクや生まれる子供が神経管奇形(二分脊髄など)になるリスクが増加します。 ビタミンB9の不足も生まれる子供が自閉症となるリスクに影響している可能性があり、"JAMA"(2013年)に掲載された研究で、妊娠前から(*)ビタミンB9のサプリメントを服用していると生まれる子供が自閉症と診断されるリスクが40%近く低いという結果になっています。
(*) 妊娠中から葉酸の服用を開始した場合には自閉症のリスクに差は出なかった。

サプリメント

そういうわけで、妊娠前~妊娠中にビタミンDを補給するには、ビタミンDを日光ではなくサプリメントで補給するのが良いかもしれませんが、サプリメントを飲み始める前には必ず医師に相談しましょう。