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長寿も若返りも腸内細菌しだい?

(2017年4月) マックス・プランク老化生物学研究所(ドイツ)の研究によると、腸内細菌が寿命や老化に影響している可能性があります。出典: Regulation of Life Span by the Gut Microbiota in The Short-Lived African Turquoise Killifish

研究の方法

ジンバブエに生息し寿命が短いことで知られるノソブランキウス・ファーザアイ(以下「ファーザアイ」)というメダカの仲間を用いた動物実験を行いました。

実験では、生後9.5週間(中年にあたる)のファーザアイに抗生物質を用いて腸内細菌を一掃し、一部のファーザアイだけ生後6週間の比較的若いファーザアイと同じ水槽で飼育して生後6週間のファーザアイの腸内細菌が生後9.5週間のファーザアイの腸内へと移動するように仕向けました(同じ水槽内で飼育されている魚の排せつ物を口にするので腸内細菌が移る)。

結果

若いファーザアイの腸内細菌叢を獲得した中年ファーザアイは、自分自身の腸内細菌叢を再び獲得したファーザアイや同年代の別の動物の腸内細菌叢を獲得したファーザアイよりも寿命が長く、生後16週間という高齢になってからも若いファーザアイと同じくらいに動きが機敏でした。

解説
若い個体の腸内細菌を移動させることによって高齢の個体の寿命が延びるメカニズムは不明ですが、年を取って免疫系が衰えて腸内細菌に病原菌が占める割合が増えたのが、若い個体の腸内細菌によってどうにかなり、それによって免疫系が助かって炎症が抑制されるからかもしれません。 炎症が減ると寿命が延びたり健康になったりすると考えられます。
仮にヒトでもファーザアイと同じコトになるという場合にも、ヒトからヒトに腸内細菌を移植する技術として糞便移植という方法がすでに存在するので大丈夫です。
ノソブランキウス・ファーザアイについて

ファーザアイは生後数か月で老化により肉体が衰え始めます。 寿命が短い生物は老化の実験に用いるのに便利ですが、同じく寿命が短いセンチュウやショウジョウバエと違ってファーザアイは脊椎動物であり、センチュウやショウジョウバエなどの下等動物よりもヒトに近い生物です。

ファーザアイは、ヒトと同じように老化により運動能力が衰えたり色素が失われたりします。 ファーザアイはガンにもなります。

さらに、ファーザアイの腸内細菌は種類構成や多様性においてヒトの腸内細菌に似ています。 ファーザアイはヒトと同じように、食物の吸収や代謝、免疫機能といった点において腸内細菌の影響を受けるますし、老化によって腸内細菌の種類構成が劣化します(多様性が低下したり病原菌が増えたりする)。