(2017年12月) "European Journal of Cancer" に掲載されたグラスゴー大学(英国)の研究で、ハムやソーセージなどの加工肉で乳ガンのリスクが増加するが赤身肉では増加しないという結果になりました。
赤身肉/加工肉と乳ガン
赤身肉や加工肉は次のような理由で乳ガンのリスクを増加させるのではないかと疑われています:- 赤身肉や加工肉に含有される鉄分(ヘム鉄は吸収効率が良すぎる)
- 肉牛を育てるのに使用されるエストロゲン
- 調理中に発生する発ガン性物質
研究の方法
英国に住む40~69才の女性26万人超を対象に、赤身肉や加工肉の摂取量を調べたのち7年間にわたり乳ガンの発症状況を追跡調査しました。 そして、赤身肉や加工肉の摂取量と乳ガンになるリスクとの関係を分析しました。
さらに、今回の研究のデータとこれまでに発表された10の類似研究のデータを併せたメタ分析も行いました。
結果
今回のデータの分析
追跡期間中に5千人弱が乳ガンになりました。
加工肉の摂取量が多い場合にのみ乳ガンのリスクが増加していました。 赤身肉の摂取量と乳ガンのリスクとの間には関係が見られませんでした。
加工肉の摂取量に応じてデータを3つのグループに分けたなかで加工肉摂取量が最大の(9g超/日)グループは摂取量が最少のグループに比べて、乳ガンのリスクが21%増加していました。
メタ分析
今回の研究データとこれまでの10の類似研究のデータを合計した165万人分(乳ガンの発生件数は4万件超)のデータを分析したところ、加工肉の摂取量が多い場合にのみ乳ガンのリスクが増加していました。
加工肉の摂取量が多い場合のリスク増加幅(少ない場合に比べて)は6%でした。 閉経前の女性と閉経後の女性に分けて分析したところ加工肉で乳ガンのリスクが増えていたのは閉経後の女性だけで、リスク増加幅は9%でした。