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地中海地方の食事に低脂肪食と同等以上のダイエット効果?

(2016年6月) "The Lancet Diabetes & Endocrinology" 誌に掲載されたバルセロナ大学の研究によると、メディテラネアン・ダイエット(地中海地方の食事)は決して低カロリーの食事ではありませんが、低脂肪の食事に比べても太りやすいというわけではありません。

研究の方法
スペインに住む55~80才の男女 7,447人を次の3つのグループに分けて、5年ほどにわたる追跡調査を行いました:
  1. オリーブ・オイルがふんだんに使われたメディテラネアン・ダイエット(カロリー制限はしない)
  2. ナッツ類を積極的に食べるメディテラネアン・ダイエット(カロリー制限はしない)
  3. 低脂肪食

被験者は全員が心血管疾患のリスクが高い状態にあるか、または2型糖尿病を発症していました。 被験者の90%超が肥満者でした。

結果

低脂肪のグループの総脂肪摂取量は40%から37.4%へ減った一方で、メディテラネアン・ダイエットの2つのグループでは総脂肪摂取量が増えていました(40%から41.8%と40.4%から42.2%)。 ただし、タンパク質と炭水化物に由来するエネルギー摂取量は、メディテラネアン・ダイエットの2つのグループで減っていました。

体重

メディテラネアン・ダイエットを続けた2つのグループでは脂肪摂取量がわずかに増えていたにも関わらず、3つのグループのいずれでも体重が減っていました。

体重の減少量が最も多かったのはオリーブ・オイルがふんだんに使われたメディテラネアン・ダイエットを続けたグループで、0.88kgの体重減少でした。 ナッツ類を積極的に食べたメディテラネアン・ダイエットのグループの体重減少量は0.60kg、低脂肪食グループの体重減少量は0.40kgというものでした。

ウェストのサイズ
ウェストのサイズはいずれのグループでも大きくなっていましたが、最も大きくなっていたのは低脂肪食のグループでした。
ウェスト・サイズ増加幅
低脂肪食のグループ:+1.2cm、オリーブオイルのグループ:+0.85cm、ナッツ類のグループ:+0.37cm)
コメント
研究者は次のように述べています:

「低カロリーの食事が健康に良いと言われ初めてから40年以上になりますが、食事に含まれるカロリーが少なければ肥満を防止できるというわけではないようです」

「今回の研究では、オリーブ・オイルやナッツ類が用いられる高脂肪のメディテラネアン・ダイエットであっても、体重やウェスト・サイズへの影響が低脂肪食とほとんど変わらないという結果になりました」

「このような結果になったのは、メディテラネアン・ダイエットに含まれている脂肪が野菜油や、魚、ナッツ類などに由来する健康的なものだからだと思われます。 バター・加工肉・糖類の使われた清涼飲料水・デザート・ファーストフードなどに含有される不健康な脂肪分の場合は話が別です」
賛同
タフツ大学(米国)の教授(研究には参加していない)は次のように述べています:

「食事ガイドラインを改訂して、脂肪の総摂取量に関する制限を撤廃すべきです。 総脂肪摂取量の基準からして根拠が不明で時代遅れなのですから。 ナッツ類や、フェノール類を豊富に含む野菜油、ヨーグルトなど高脂肪であっても健康的な食品に関する偏見もそろそろ改めるべきでしょう」

「低脂肪で低カロリーな食品を食べていれば体重が減るという迷信から脱却する必要があります。 大切なのは総カロリー摂取量ではなく食品の品質です。 食品に含まれる脂肪の量は、その食品が健康に及ぼす長期的な影響の良し悪しを示してはいません」

「(したがって、含有カロリーに関わらず)果物・ナッツ類・野菜・全粒穀物・魚介類・ヨーグルト・オリーブオイルなどを積極的に食べて、でんぷん質・糖類・塩分・トランス脂肪を大量に含む加工食品を控えるようにするとよろしい。 今回の結果は非常に重要です」
異論
ただし、レディング大学(英国)の栄養学の研究者(研究には参加していない)は次のように述べています:
「3つのグループの脂肪と炭水化物の摂取量の差はさほど大きくありませんでした。 したがって今回の研究だけでは、体重を減らす上で低脂肪食が良いとも低炭水化物食が良いとも言えません」
さらに、オックスフォード大学の研究者(研究には参加していない)も次のように述べています:
「今回の研究からは、低脂肪食が体重に及ぼす影響について結論を導き出すことはできません」