トリネガ乳ガンにメラトニンが有効である可能性

"PLoS One"(2014年1月)に掲載された Henry Ford Hospital などの研究によると、メラトニンのサプリメントが乳ガン腫瘍の成長を鈍化させるのに有効かもしれません。

この研究では、マウス実験および細胞組織を用いた生体外実験により、ER 陰性乳ガンにおける血管新生に対するメラトニンの効果を調べました。
血管新生
腫瘍における血管新生とは、腫瘍の増殖に必要となる新たな血管が形成されることです。 腫瘍は、サイズの直径が数ミリを超えると低酸素状態になり、化学物質を放出します。 この化学物質によって血管新生が起こり、腫瘍が成長します。
マウスの実験では、ヒトのトリプル・ネガティブ乳ガンを移植したマウスを2つのグループに分けて、一方のグループには21日間にわたって毎晩、消灯の1時間前にメラトニンで処置しました。 処置の内容は、薬物として用いられる濃度(pharmacologic concentration)のメラトニンを投与するというものでした。

メラトニンを投与するのを消灯の1時間前としたのは、メラトニンは暗くなる前に投与するのが最も効果的であると思われるためです。 組織のメラトニンへの感受性が、この時間帯に最大になると考えられているのです。

そして21日後に、単光子放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)を用いて乳ガン腫瘍のサイズと新生血管の形成の有無を調べたところ、対照群の平均では腫瘍が大きくなっていたのに対して、メラトニンを投与したグループでは(21日前に比べて)腫瘍が有意に小さくなっていました。 また、新生血管についても、メラトニンを投与したグループの方が(対照群に比べて)成長が少なくなっていました。

さらに、メラトニンを投与したグループは、21日間のうちに体重がまったく減っておらず、嗜眠(「しみん」。 眠気があり、異常なまでに元気がなく意識が遠いことを特徴とする状態)も示しませんでした。 それどころか、このグループのマウスの大部分は活発に(かといってイライラしたり攻撃的だったりということもなく)行動していました。

細胞組織を用いた生体外実験でも同様の結果でした。

American Cancer Society(米国ガン学会)によると、メラトニンは抗酸化作用がある可能性があるため、一部のガン細胞の成長抑止に有効なのではないかと一部で考えられています。 特に、一部の抗がん剤との組み合わせが有効ではないかと期待されています。

研究者によると、今回の研究は、乳ガンへのメラトニンの効果を調べたものとして極初期の段階に位置するものであり、ガンの治療目的でメラトニンを投与するようになるまでには、まだまだ研究が必要です。