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記憶力の衰えが気にならなくなった高齢者は認知症の発症が近い

(2015年8月) 年をとると記憶力の衰えが気になるものですが、"Neurology" 誌に掲載されたラッシュ大学(米国)によると、認知症を発症する2~3年前には逆に記憶力の衰えが気にならなくなります。出典: Awareness of Memory Loss May Decline 2-3 Years Before Dementia Onset

すでに認知症になっている人では『自分の記憶力が低下している』という認識が欠如するのが一般的ですが、今回の研究では認知症を発症する前の時点でそういう認識が欠如し始めることが明らかになりました。

研究の方法

今回の研究では高齢者 2,092人を10年超にわたって追跡調査しました。 追跡開始の時点において、高齢者たちの平均年齢は76才で認知能力や記憶力に問題のある人は含まれていませんでした。

記憶力・思考能力の検査を年に1度行ったほか、アンケートも実施しました。 アンケートでは、ここ10年間で記憶力がどれくらい低下したかや、物忘れの頻度などを尋ねました。

結果

追跡期間中に認知症と診断されたのは239人でした。 この239人では、①記憶力の低下が何年か続いたのち②『自分の記憶力が低下している』という認識が急激に衰え、③平均でそれから2.6年後に認知症が発症していました。

『自分の記憶力が低下している』という認識の衰えが認知症発症の何年前に生じるかや、この認識の衰えが悪化するペースには個人差がありましたが、認識の衰えは239人の実質的に全員に見られました。

比較的若い人の方が『自分の記憶力が低下している』という認識の衰えが生じてから認知症を発症するまでの期間が長い傾向にありました。

脳の変化

この研究では、追跡期間中に亡くなった高齢者385人の脳の検査も行いました。 検査では、認知症患者の脳に一般的に見られる7種類の病態をチェックしました。

その結果、『自分の記憶力が低下している』という認識の急激な衰えに7種類の病態のうち次の3種類が関与していることが明らかになりました:
  • τ(タウ)タンパク質のもつれ
  • 梗塞(脳の損傷)
  • TDP-43タンパク質の異常