転移先を求めるガン細胞を誘き寄せて転移を早期に探知する埋め込み型デバイス

(2016年9月) ミシガン大学の研究チームが、乳ガンの転移を早期に察知するという小型デバイスの効果をマウスで実験した結果を "Cancer Research" 誌に報告しています。出典: How a Small Implanted Device Could Help Limit Metastatic Breast Cancer

デバイスについて
この小型デバイスは皮下に埋め込んで使用するもので、免疫細胞をデバイスへと誘導することによって転移しようとして移動中のガン細胞をデバイスへと誘き寄せます。 そうしてデバイスに集まってきた転移性のガン細胞を患者の負担とならない手法で測定し、ガンの転移を早期に察知します。
(*) 形状や構造は不明ですが「スカフォード(足場)」と呼ばれています。 スカフォードは縫合糸や創傷被覆材への使用が米国食品医薬局(FDA)により既に承認されている生分解性の素材でできています。 皮下に埋め込まれたデバイスは2年間にわたり作動し続けます。

現在のところ、転移したガンの治療が行われるのは患者に自覚症状が出たのちに検査を行ってからになりますが、スカフォードを用いることで自覚症状が出るよりも早く、転移したガンの治療を開始できるようになります。

また、スカフォードを取り出して内部に溜まっているガン細胞を調べることで、ガン細胞の種類に応じた最も効果的な治療法を特定することも出来ると考えられます。

転移ガンの進行を遅らせる効果も

スカフォードには、転移したガンの進行を遅らせる効果もあります。 詳細は不明ですが、乳ガンの主な転移先となる肺・肝臓・脳などの臓器へと免疫細胞が移動し難くすることで、ガン細胞の移動も抑制するのだそうです。

研究者は次のように述べています:
「典型的なパターンでは、ガンの転移先にまず免疫細胞がコロニーを形成して、ガンの転移の下準備をします。 今回のマウス実験では、免疫細胞をスカフォードに誘導することでガン転移の下準備がなされにくくなるという結果になりました。 スカフォードに誘導される免疫細胞が多いと、スカフォードに誘き寄せられるガン細胞も多くなります」
マウス実験
5日目

マウスに(乳ガンの)腫瘍が発生してから5日目で早くも、スカフォード内部にガン細胞が検知されました。 この時点では肺・肝臓・脳からはガン細胞は検出されていないため、臓器に転移するよりも先にスカフォードにガン細胞がやって来るのだと思われます。

10日目

10日目に腫瘍を取り除きました。 この時点では(スカフォードのお陰で)転移が検知されていたけれども、転移の程度は未だそれほどでもありませんでした。 スカフォードを埋め込まれていたマウスは、埋め込まれなかったマウスに比べて生存期間が長くなっていました。

15日目
腫瘍発生後15日目の時点で、スカフォードを埋め込まれたマウスは、スカフォードを埋め込まれなかったマウスに比べて、(乳ガンから転移してきて)肝臓に存在するガン細胞が64%、脳に存在するガン細胞が75%少ないという状態でした。 このことから、スカフォードにはガンの転移の進行を遅らせる効果があると思われます。
色々と不明点が残る不十分な記述ですが、原文もこんな感じです。
今後の予定
研究チームは今後、初期の乳ガンの患者にスカフォードを使用する臨床試験の計画を作成する予定です。 乳ガン患者ではないけれど乳ガンのリスクが高いという人や、乳ガン以外のガンの患者にもスカフォードを利用できる可能性があります。