ブドウ糖から体内で作られる物質で HDL コレステロールが壊される

(2014年9月) "Nutrition and Diabetes" 誌に掲載された University of Warwick(英国)の研究で、糖分の派生物であるメチル・グリオキサール(MG)という物質により、善玉の HDL コレステロールが機能を失うメカニズムが明らかになりました。

MG は体内でブドウ糖から作られますが、ブドウ糖の4万倍も強い反応性を有していて、HDL のアルギニン残基を傷つけ、HDL の安定性を損ないます。 そして、MG によって不安定な状態となった HDL は心臓病を予防する効果を失います。

MG により損傷を受けた HDL は血中から排除される場合と、血中に残る場合があります。 前者の場合には HDL 血中量の低下につながりますし、後者の場合には HDL の機能不全の原因となります。 心臓疾患のリスクの最大10%が MG による HDL の損傷に起因するものだと思われます。

健康な人の体内では MG の量は低い水準に保たれており、これによって健康が維持されています。 しかし、老化に伴って Glo1(グリオキサラーゼ1)と呼ばれるタンパク質の補充ペースが遅くなると、MG の量が徐々に増えてきます。

MG の量が異常に増加した状態は「ジカルボニル・ストレス」と呼ばれますが、このジカルボニル・ストレスは、高齢者以外にも、糖尿病患者、(腎臓病の)透析患者、心臓疾患患者、肥満者で見られます。

MG の血中量を減らして HDL の量を回復するための方法としては治療薬も考えられますが、それ以外に Glo1 を含有するサプリメントも考えられます。 Glo1 には、MG を無害化する作用があります。

MG の発生源
LifeExtension(リンク切れ)というフォーラムによると、MG は、加工食品や、発酵食品、長期間保存されていた食品を食べたときにも体内で作られます。

MG はさらに、加熱調理で糖分やアミノ酸(タンパク質)が茶色になっている部分(食べると香ばしい風味がする部分)にも発生します。

MG 含有量が顕著な食品はコーヒーで、これに砂糖やクリームを入れると MG の作用が増幅されます。 MG は他にも、ビールや、ウイスキー、砂糖の入った清涼飲料水、トーストしたパン、ケーキ、菓子類、醤油などに含まれています。

マヌカ・ハニー(蜂蜜の一種。ニュージーランドの特産品)に含まれる MG の量は普通の蜂蜜の一千倍で、マヌカ・ハニーが有する抗菌作用は MG に由来していると考えられます。 タバコの煙や揚げ物を作っているときに出る煙にも MG が大量に含まれています。

長期間にわたる断食や高タンパク食によるケトーシス(体内のケトン体が異常に増加した状態)も MG の体内量が増加する原因となります。 菜食主義でも血中の MG 濃度が増加しますが、これは果物に由来する果糖や、カロリー不足に起因する低レベルの慢性的なケトーシスが原因だと思われます。

MG 対策
同じ上記のフォーラムによると、体内の MG を増やさないためには、菜食主義やアトキンス・ダイエットなどの偏った食生活よりも、通常の範囲内で野菜をたっぷり食べ、果物を適度に食べるような食生活が最善だと思われます。 ポリフェノールなどの抗酸化物質の摂取も有効でしょう。

そして、炭水化物(砂糖やパンなど)やタンパク質(肉や魚、チーズなど)が加熱されて茶褐色になったり、焦げ付いたりした部分を食べないようにしましょう。 MG を避けるという観点からは、焼くという調理方法自体が好ましくありません。(煮炊きや蒸すのが良い)

さらに、加工食品や、常温での長期保存が可能な食品(缶詰や瓶詰めなど)、お酒、砂糖の使われた清涼飲料水も控えましょう。