放射線防護薬で肥満が治る?

(2013年9月) "Nature Communications" 誌に掲載された研究によると、薬剤によって腸内細菌をコントロールすることで肥満を抑制できます。

マウスにテンポールという放射線防護薬を16週間にわたってマウスに投与して、腸内細菌の1つであるラクトバチルス菌を減らし、この菌による抱合胆汁酸脱抱合酵素(BSH)の活性を抑えたところ、タウロ-β-ムリコール酸(T-β-MCA)という胆汁酸の一種が腸内に蓄積し、その結果、マウスに高脂肪のエサを与えても肥満にならなかったのです。

T-β-MCA には、胆汁酸、脂質、およびブドウ糖の代謝の調整に関与しているファルネソイドX 受容体(FXR)を阻害する作用があります。 テンポールを投与されたマウスでは、T-β-MCA が増加することによって腸内における FXR シグナリングが阻害されていました。

遺伝子改造により腸内 FXR の欠けている(Fxr-null)マウスにおいても、普通のマウスにテンポールを投与した場合と同様に、高脂肪の食事が原因の肥満にはなり難い傾向にありました。 さらに、腸内 Fxr の欠けているマウスにテンポールを投与しても体重が減少しなかったことから、テンポールによる抗肥満作用には腸内の FXR が関与していると考えられます。

テンポールを投与されたマウスでは、体重が増え難くなるだけでなく、血糖値とインスリンの低下も見られたため、腸内 FXR の阻害をターゲットとする薬が開発されれば、肥満だけでなく2型糖尿病の治療にも利用できる可能性があります。