中年の糖尿病患者では軽度認知障害のリスクが2倍に

(2014年9月) "Journal of Alzheimer's Disease" に掲載された研究で、2型糖尿病患者では軽度認知障害(MCI)のリスクが2倍になるという結果になりました。 ただし、この MCI リスクが2倍というのは50~65才の患者に限った話で、66~80才の患者には当てはまりません。

軽度認知障害とは
軽度認知障害(MCI)とは、加齢による認知機能の通常の衰退と認知症との中間の状態のことです。

MCI がある人では認知症になるリスクが増加しますが、実際に認知症になる人はごく僅かです。 さらに、いったん MCI になった後に認知能力が通常に戻る人も少なくありません。

MCI は影響を受けている認知領域の違いによって「健忘性 MCI」と「非健忘性 MCI」の2種類に分けられます。 脳の領域のうち記憶を担当する部分が損なわれているのが「健忘性 MCI」で、記憶以外の部分を担当する領域が損なわれているのが「非健忘性 MCI」です。

今回の研究では 次の4つを基準として MCI の有無を判定しました:

  1. 「過去2年間で認知能力が落ちたなあ」という自覚がある。
  2. 客観的な認知能力テストで、実際に認知能力が落ちていることが確認される。
  3. 日常生活に支障をきたさない程度の能力はある。
  4. 認知症とは診断されなかった。
研究の内容
この研究では、MCI と診断された男女560人(健忘性 MCI が289人で、非健忘性 MCI が271人)を認知機能が正常な男女 1,376人と比較しました。

その結果、2型糖尿病と MCI のあいだに強い相関関係が見られましたが、これは中年者層だけに限定されていました。 中年女性では2型糖尿病と健忘性 MCI の関係が顕著で、中年男性では2型糖尿病と非健忘性 MCI の関係が顕著でした。

今回の結果から、2型糖尿病のある中年男女では MCI のリスクが増加すると思われます。 中年期においては、心血管の合併症だけでなく認知機能の衰えを防ぐためにも、糖尿病のケアが大切であると言えそうです。