中年のころに慢性炎症がひどいと高齢になってから虚弱になりやすい

(2018年4月) "The Journal of Gerontology" に掲載されたジョンズ・ホプキンス大学などの研究で、中年の頃に慢性炎症が生じていると高齢になってから虚弱になりやすいという結果になっています。出典: Mid-Life Chronic Inflammation May be Linked to Frailty Later

研究の方法

米国に住む男女 5,760人を対象に、40~50代の頃に血液検査をしてCRP(*)のほか5種類の炎症マーカーの血中濃度を測定しました。 5種類の炎症マーカーの血中濃度からは「炎症スコア」を算定しました。
(*) C反応性タンパク質の略語。 C RPは感染症・心臓疾患・ガンなど様々な理由で生じる炎症に反応して増加する。

そして、70代になるまでの約24年間にわたり虚弱の発生状況を追跡調査しました。

虚弱の定義

体重減少・疲労感・身体活動量の低下・動作の鈍化・筋力低下という5つの項目のうち3つ以上に該当する場合を虚弱とみなしました。

結果

虚弱になった人の特徴

7%の人が70代になった時点で虚弱でした。 虚弱の高齢者は壮健な高齢者に比べて、心臓病・脳卒中のリスク要因(BMI・血圧・コレステロール値が高いなど)を抱えていることが多かったほか、高率で高血圧・糖尿病・冠動脈疾患などの持病を患っていました。

炎症スコア

中年期に炎症スコアが低かったグループでは高齢になってからの虚弱の有病率が4~5%でしたが、中年期の炎症スコアが高かったグループでは有病率が9%でした。 中年期における炎症スコアが標準偏差の数値ぶん高くなるごとに高齢期における虚弱のリスクが39%増加するという計算になります。

CRP値

年齢・性別・教育水準・持病の有無などを考慮した分析で、中年期におけるCRP値が標準偏差の数値ぶん高くなるごとに高齢期における虚弱のリスクが32~52%(*)増加していました。
(*) 中年期に何度かCRP値を調べたので、調べた時期により数字に違いがある。 32%というのが虚弱の有病率を調べたときから21年前に測定したCRP値に基づく数字で、52%というのは有病率を調べたときから15年前のCRP値に基づく数字。

コメント

研究者は次のように述べています:
「虚弱へと至るプロセスが虚弱が発生する数十年前から始まっていると考えられます。認知症なんかと同じですね」
「中年期は高齢になってからの健康状態にとって特に重要な時期であると考えられます。 その理由の1つ目は、糖尿病などの生活習慣病が増え始めるのが中年期だということ。 2つ目の理由は、高齢になってから全身性の疾患や炎症が生じる人に比べて、中年ごろに全身性の疾患/炎症が生じる人はこれらにさらされる期間が長くなるためその悪影響を受けやすいというものです」

中年のうちにできること

研究チームによると慢性炎症の程度を緩和するには次の2つの方法があります:
  1. 健康的な生活習慣を維持する。
  2. 慢性疾患を治療する。
この2つを実践して炎症を緩和することによって、高齢になってから虚弱になるリスクを減らせる可能性があります。