偏頭痛で心臓病のリスクが増加するのは遺伝子のせいではない?

(2015年7月) 偏頭痛持ちの人では心臓病のリスクが増加することが知られていますが、"Neurology Genetics" 誌に掲載された Broad Institute(米国)の研究により、偏頭痛持ちの人は遺伝子的には心臓病のリスクが普通であるか、または低いことが明らかになりました。

つまり、偏頭痛持ちの人は遺伝子的には心臓病のリスクが普通あるいは通常よりもむしろ低いのに、心臓病のリスクが増加しているというのです。

研究の方法
この研究では、偏頭痛の有無による遺伝子の違いを調べた研究のデータ(*)と、心臓病の有無による遺伝子の違いを調べた研究のデータ(†)を用いて、偏頭痛と心臓病に共通する遺伝子変異体を調べました。

(*) 偏頭痛持ちの 19,981人と偏頭痛持ちではない 56,667人の遺伝子情報

(†) 心臓病の病歴がある 21,076人と心臓病の病歴がない 63,014人の遺伝子情報。
結果

前兆があるタイプの偏頭痛に関しては、偏頭痛と心臓病に共通する遺伝子変異体は見当たりませんでした。 前兆とは、目がチカチカするとか、波打つ線が見えるなどの閃輝性暗点の症状の他、知覚麻痺・刺すような痛み・嗅覚の異常などのことで、「オーラ」とも呼ばれます。

さらに前兆がないタイプの偏頭痛が生じる人では、遺伝子変異体的には心臓病のリスクが増えるどころか低下していました。 心臓病のリスクを増加させる遺伝子的要因が通常よりも(偏頭痛が無い人に比べても)少なかったのです。
解説

偏頭痛持ちの人で心臓病のリスクが増加するのは遺伝子以外の要因が理由かもしれません。 例えば、偏頭痛持ちの人では肥満・運動不足・喫煙・鬱の率が通常よりも高いことが知られていますが、これらはいずれも心臓病のリスク要因です。

ただし、今回の研究に用いられた2つのデータで捉えきれていない遺伝的な要因のために偏頭痛持ちの人で心臓病のリスクが増加している可能性も残っています。