(2017年8月) 重慶市第七人民病院(中国)の研究チームが行い "Medicine" 誌に掲載されたメタ分析によると、味噌汁の食べ過ぎにより胃ガンになるリスクが増加する恐れがあるかもしれません。
研究の方法
大豆食品(*)と胃ガンになるリスクとの関係について調べた13の前向き研究(†)のデータを分析しました。 データに含まれる人数は52万人弱、胃ガン患者の数は 5,800人でした。(*) 大豆・味噌汁・豆腐・豆乳・納豆など11種類。
(†) 13の研究のうち11が日本の研究。結果
大豆食品全体
大豆食品全体の摂取量が最も多いグループは最も少ないグループに比べて胃ガンになるリスクが22%低くなっていたものの、用量反応分析では大豆食品全体の摂取量と胃ガンのリスクとのあいだに関係が見られませんでした。発酵性の大豆食品
発酵性大豆食品(*)の摂取量と胃ガンのリスクの間には関係が見られませんでした。
(*) 主に味噌? メタ分析に使われた研究のなかに「発酵性大豆食品」というくくりで調査対象にしている研究は2つあり、そのうちの1つ("British Journal of Cancer" に掲載)では発酵性大豆食品に納豆も含まれていますが、この研究にも「醤油」という言葉は出てきません。 もう1つの研究は本文を見れないため「発酵性大豆食品」の内容は不明。
非発酵性の大豆食品
非発酵性大豆食品の摂取量が最も多いグループは最も少ないグループに比べて胃ガンになるリスクが37%低くなっており、用量反応分析でも統計学的に有意な関係が見られました(150g/日の摂取量で43%のリスク低下)。
味噌汁
男性に限り、味噌汁の摂取量が最も多いグループは最も少ないグループに比べて、胃ガンになるリスクが17%高くなっていました。 用量反応分析でも、味噌汁を3杯/日食べる男性は29%、5杯/日食べる男性は31%、それぞれ胃ガンのリスクが増加するという結果でした。
結論
以上の結果から研究チームは、「非発酵性の大豆食品により胃ガンのリスクが低下する可能性があるが、味噌汁により胃ガンのリスクが増加する恐れがある」と結論づけています。
解説
大豆を発酵させる過程において大豆の成分であるイソフラボンの抗腫瘍効果が強まるはずだと考えられます。 それなのに、発酵性大豆食品の摂取量が多くても胃ガンのリスクが下がっていなかったのは、発酵性大豆食品に発ガン性物質の材料となる亜硝酸塩が含有されているためかもしれません。
味噌汁で胃ガンのリスクが増加していたのには、味噌汁が塩分の多い食べ物であることも関係している可能性があります。 男性でのみリスクが増加していた理由は不明です。
2013年に発表されたバンダービルト大学の研究によると、塩分の多い食事とピロリ菌が合わさることで胃ガンになるリスクが跳ね上がる恐れがあります。