カロリー制限でミトコンドリアの構造が整う。 効果は寿命10年分以上か

(2014年5月) "Nature Communications" 誌に掲載された英国ニューカッスル大学の研究によると、ミトコンドリア(細胞のエネルギーを作り出す)のタンパク質構造に乱れがあると、ミトコンドリアの活動効率が悪くなり、同じエネルギーを作り出すのにも発生するフリーラジカルの量が増えて、それが細胞の老化を早める原因になると考えられます。 そして、このミトコンドリアの構造の乱れを正すのにカロリー制限が有益かもしれません。

ただし、この研究はマウス実験によるものなので、ヒトでも同じ結果になるという保証はありません。

研究者は次のように述べています:
「ミトコンドリアは体に必要なエネルギーを生み出しますが、その活動の際にフリーラジカルも生み出します。 フリーラジカルは以前から加齢への関与が疑われてきました。 ただし、具体的にどのように関与しているかは未だ不明です」
タンパク質複合体がエネルギーを作り出す

ミトコンドリアによるエネルギー生産の中核は、96種類のタンパク質からなるタンパク質複合体です。 今回の研究で、長命なマウスと短命のマウスのタンパク質複合体を比較したところ、驚いたことに長命マウスのほうがタンパク質の量が少なく、短命マウスよりもエネルギー生産量が少ないようでした。

大切なのはタンパク質複合体の量よりも質

しかし、さらに調査を進めた結果、大切なのはタンパク質複合体に含まれるタンパク質の量ではなく構造の完璧さであることがわかりました。 タンパク質の量が少ないほうが、複合体の構造が整っていたのです。 逆にタンパク質が多い構造(短命マウス)では、エネルギーの生産効率が悪いために、ミトコンドリアによる代謝の副産物であり毒性を有する酸素フリーラジカルの放出量が増加していました。

「今回の研究では、タンパク質複合体の構造の効率によってマウスの寿命に差が出ることが示されました。 この寿命の差は、ヒトで言えば10~20年ほどにも相当します。 (おそらく別途に行った細胞実験で)タンパク質複合体の構造が乱れているとヒト細胞の老化が速く進むことも示されました」