「適量の飲酒は健康的」 とする研究の大部分に欠陥

(2016年3月) "Journal of Studies on Alcohol and Drugs" に掲載されたビクトリア大学(カナダ)のシステマティック・レビューによると、「適量の飲酒であれば健康に良い」とする研究の大部分に欠陥があり、実際には飲酒に健康効果は期待できない可能性があります。

レビューの概要

飲酒と健康の関係について調べた87の研究のデータを調査したところ、大部分の研究では適量(1日あたり1杯~2杯)に飲酒する習慣があるグループと飲酒習慣が無いグループとを比較していました。

最大の問題点

ここで最も大きな問題だったのは、飲酒習慣が無いグループに健康不良ゆえに禁酒している人たちも含まれていることがあるという点です。

この「健康不良ゆえに禁酒している人たち」という存在や研究手法上のその他の問題点を考慮して分析し直したところ、適度に飲酒する習慣がある人たちが長生きであるというそれまでの結果は消滅してしまいました。

また、87の研究のうち13の研究では当初より「健康不良ゆえに禁酒している人たち」の問題を考慮して分析がなされていましたが、この13の研究では当初の分析の時点で、適量の飲酒であっても健康にとって有益ではないという結果になってました。

健康効果が飲酒によるものとは考えにくい

様々な問題点を考慮して分析し直す前の段階においても、(87の研究全体で)もっとも長生きだったのは飲酒量が「適量」よりも少ないグループでした。 このグループの飲酒量は1週間に1杯未満というもので、研究者によると、この程度の飲酒量が寿命に影響するとはあまり考えられません。

さらに、これらの研究において適量の飲酒がもたらすとされた健康効果は信じられないほどに広範囲にわたっており、耳鳴りや肝硬変のリスク低下まで含まれていました。

この点に関して、研究者は次のように述べています:
「アルコールが万能薬であるということはないでしょうから、適量の飲酒それ自体に健康効果があるのではなく適量に飲酒する人が健康だとかそういうことではないかと思います」