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適量の飲酒は心不全予防に有効かも

(2015年1月) "European Heart Journal" オンライン版に掲載されたハーバード大学の研究によると、適量の飲酒によって心不全のリスクが低下するかもしれません。 ただし、過去にも同様の研究が複数行われていて、それらの結果は一致していません。
心不全
心不全とは、心臓が全身に血液を十分に送れないようになった状態のことです。 心不全の最も一般的な原因は心臓発作などによる心筋の損傷です。 心不全のリスク要因は、高血圧、心筋症(心筋組織の病変による疾患)、心臓弁の異常、不整脈、ウイルス感染、過度の飲酒、麻薬の使用、ガンの放射線治療の副作用などです。心不全患者の数は世界全体で 2,300万人を超えます。
研究の方法

この研究では、45~64才の米国人男女 14,629人を対象に、飲酒量を尋ねた上で24~25年間にわたって追跡調査しました。 追跡調査期間中にも飲酒量の調査を3年に1度行いました。

14,629人は、飲酒量に応じて次の6つのグループに分類されました:

  1. 飲酒しないグループ(42%)
  2. 飲酒歴があるが現在は飲酒習慣が無いグループ(19%)
  3. 一週間あたりの飲酒量が週に7杯未満のグループ(25%)
  4. 一週間あたりの飲酒量が7杯以上14杯未満のグループ(8%)
  5. 一週間あたりの飲酒量が14杯以上21杯未満のグループ(3%)
  6. 一週間あたりの飲酒量が21杯以上のグループ(3%)
「1杯」の定義
この研究では、アルコール14gを「1杯」と定義しました(米国の一般的な定義と同じ)。 これは、ビールであれば350ml缶1本程度、ワインであれば120~150cc程度になります。
結果

追跡期間中に心不全を発症したのは、男性 1,271人、女性 1,237人でした。 心不全の発症率が最も低かったのは3のグループで、最も高かったのは2のグループでした。

1のグループに比べたときの心不全発症率は次のようなものでした:

  • 3のグループの男性: -20%
  • 3のグループの女性: -16%
  • 2のグループの男性: +19%
  • 2のグループの女性: +17%

この結果は、年齢や、糖尿病高血圧・心臓疾患・心臓発作の病歴の有無、BMIコレステロール値、運動習慣、教育水準、喫煙習慣などの心不全リスク要因を考慮したうえでのものです。

過剰な飲酒を長期間にわたって続けると心筋症のリスクが増加することが知られていますが、飲酒量が多かった5と6のグループでも、心不全のリスクは1のグループと大差ありませんでした。 ただし、これらのグループは人数が少なかったので信頼性が不十分です。

その一方で、総死亡率(死因を問わない死亡率)に関しては、初回の飲酒量調査で5のグループに分類された男女で(おそらく、1のグループに比べて)増加していました。 増加率は、男性では47%、女性では89%でした。

解説
研究者は次のように解説しています:
  • 2のグループで心不全発症率が高かったのは、このグループの人たちが禁酒した理由の中に、心不全のリスク要因ともなるような体の異常が含まれていたためかもしれない。
  • 適量の飲酒による心不全予防効果が女性で薄かったのは、アルコールの代謝のされ方が男女で異なるためではないかと思われる。