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少量の飲酒を嗜む人は心不全になることが少ない

(2017年6月) カロリンスカ研究所(スウェーデン)の研究チームが行い "Clinical Nutrition" 誌に掲載されたメタ分析で、お酒を軽く飲む習慣がある人は心不全になることが少ないという結果になっています。

心不全について

心不全とは、心臓が全身に血液を十分に送れないようになった状態のことです。 心不全の最も一般的な原因は心臓発作などによる心筋の損傷です。 心不全のリスク要因は、高血圧・心筋症(心筋組織の病変による疾患)・心臓弁の異常・不整脈・ウイルス感染・過度の飲酒・麻薬の使用・ガンの放射線治療の副作用などです。 心不全は他の心臓病に比べて死亡リスクが高めです。

メタ分析の方法

飲酒習慣と心不全のリスクの関係について調べ 2016年の末までに発表された研究の中から、所定の基準を満たす13の前向き研究を選出し、それらのデータを分析しました。 データに含まれる人数は35万人超、心不全の症例数は1万3千7百件超でした。

結果

1週間あたりの飲酒量が少ない(0.1~7杯(*))場合に限り、飲酒習慣が無い場合に比べて心不全のリスクが14%低くなっていました。 飲酒量が7.1杯/週以上の場合には、心不全のリスクは上がりも下がりもしていませんでした。
(*) ビールであれば350ml缶1本程度、ワインであれば120~150cc程度が「1杯」に相当する。

また、以前はお酒を飲んでいたけれど飲まなくなったという場合には、心不全のリスクが22%高くなっていました。

解説

お酒を飲む習慣が無くなった場合に心不全のリスクが高くなっていたというのは、

「お酒に心不全予防の効果があるのに、お酒を飲まなくなったので、お酒の心不全予防効果を得られなくなった」

ということではなく、

「お酒を飲まなくなったケースでは健康上の不安のために酒を止めたという人が多く、そんな健康不良のために心不全のリスクが高かった」

ということである可能性が考えられます。

したがって、お酒を飲む習慣が無くなった場合に心不全のリスクが高くなっていたというのは、「お酒を少し飲む習慣がある場合に心不全のリスクが低かった」という結果を補強する材料にも否定する材料にもならないでしょう。

これまでの類似研究では、(今回の結果と同様に)適度な飲酒習慣(*)がある人は心不全のリスクが低いことや、(今回の結果と違って)過度の飲酒習慣がある人は心不全のリスクが高いことが示されています。
(*) 1回の飲酒機会に飲む量が1~2杯程度で、さらに毎日は飲まない。