運動によってガン腫瘍への酸素供給量が増加する

(2015年5月) "Journal of the National Cancer Institute" に掲載されたカンザス州立大学の研究によると、運動習慣によってガン腫瘍への酸素供給が増強されて放射線治療などの治療効果が改善されると思われます。 出典: Moderate Exercise May Make Cancer Treatments More Effective, Kinesiologist Finds
腫瘍と酸素

腫瘍は低酸素状態にあるときに侵攻性(腫瘍の増殖速度)が非常に強まるケースが少なくありません。

酸素には放射線増感作用(腫瘍に放射線がよく効くようにする作用)があるため、ガン細胞の破壊を手助けしてくれます。 逆に腫瘍が低酸素状態にある場合には、放射線治療など従来のガン治療法が腫瘍に対して効果を発揮しなくなるケースが多数です。

ガン治療の前に濃縮酸素療法(concentrated oxygen breathing)を行って腫瘍への酸素供給量を増やすということも行われています。
運動により腫瘍に酸素が送り込まれる
研究者によると、運動が肺・心臓・血管など体全体に与える影響によって腫瘍内の血管系が機能不全を起こしているのを逆手に取ることができます:
「腫瘍が運動によって増加した心拍出量(1分間に心臓が拍出する血液の量)の格好の(抵抗が最も少ない)通り道となり、それによって運動中および運動後には腫瘍への酸素供給量が相当に増加します」
適度な激しさの運動が良い
腫瘍への酸素供給を目的として運動をする場合には、適度な激しさの運動が効果的です。 運動が軽すぎると上記のような酸素供給効果が生じない恐れがありますし、激しすぎても腫瘍への血流がシャットダウンされたり、免疫系の機能が損なわれるなどマイナスの作用が生じる恐れがあります。
この研究者は「適度な激しさの運動」を、有酸素能力の限界の30~60%に当たる運動と位置付けています。 有酸素能力は最大酸素消費量(VO2 max)テストで計測されます。 適度な激しさの運動の例としては、速いペースでのウォーキングと軽いジョギングが上げられています。
運動にはガン治療の副作用を緩和する効果も

他の研究では、適度な激しさの運動が血球数減少・疲労感・悪液質(体重と筋肉量の減少や衰弱のこと)などのガン治療による副作用の緩和に有効であることも示されています。 米国国立ガン研究所も、ガン患者が運動をすることを推奨しています。

今回の研究の内容
この研究では、前立腺ガン細胞を植え付けられたネズミを用いるなどして色々と調べたようです。 詳しくは " Journal of the National Cancer Institute"(英文)をご覧ください。