5%の減量でも肥満者の健康にとって非常に有益

(2016年2月) "Cell Metabolism" 誌に掲載されたワシントン大学セントルイスの研究によると、肥満の人が体重を5%減らすだけでも健康にとって非常に有益です。 5%という比較的わずかな体重の減少であっても、糖尿病と心血管疾患(心臓病や脳卒中)のリスク低下と肝臓・筋肉組織・脂肪組織における代謝機能の改善が顕著に見られたのです。出典: In Obese Patients, 5 Percent Weight Loss Has Significant Health Benefits

研究の方法

糖尿病ではない肥満者40人を次の2つのグループに分けて、一方のグループには従来の体重を維持してもらい、もう一方のグループ(19人)にはダイエットをして体重を減らしてもらいました。 そして減量の前後で全身・臓器系・細胞応答を比較しました。

さらに、体重を5%減らした19人のうちの9人には引き続きダイエットをして体重を15%減らしてもらいました。

結果
5%の減量
体重を5%減らしただけでも次の効果が得られました:
  1. β細胞(インスリンを分泌する膵臓の細胞)の機能改善
  2. 脂肪組織・肝臓・骨格筋組織のインスリン感受性の改善
  3. 体脂肪の減少
  4. 肝臓脂肪の顕著な減少
15%の減量

β細胞の機能と筋肉組織におけるインスリン感受性については体重を5%減らしたとき以上の改善が見られましたが、肝臓と脂肪組織におけるインスリン感受性は体重を5%減らしたときと変わりませんでした。

炎症

肥満により炎症が増加することが知られていますが、今回の研究では体重を落としても炎症マーカーの量に変化は見られませんでした。 脂肪組織のにおける炎症の増加がインスリン抵抗性などの代謝異常の一因ではないかと考えられていますが、今回の研究では炎症マーカーに変化が無いままに代謝機能だけが改善されていました。

コメント
研究者は次のように述べています:

「現行のガイドラインでは肥満者が体重を5~10%減らすことが推奨されていますが、体重を10%減らすよりも5%減らすだけの方がはるかに楽です。 (5%でも10%でも効果はあまり違わないので)楽な方を目標とするのが合理的です」

「例えば体重が90kgであれば、体重を4.5kg減らしてその状態を維持してやることで体は随分と助かります。 体重を20%超も減らさなくても5%減らすだけで重要な健康効果を得ることが出来るのです」
「ただし、糖尿病を発症している人では今回と異なる結果になるかもしれません。 この点については今後の研究で確認する必要があります」