ガン治療におけるメラトニンの利用(レビュー)

(2019年5月) イランの研究グループがガン治療におけるメラトニンの利用についてまとめたレビューを "Life Sciences" 誌に発表しています。
著者: Keywan Mortezaee et al.
タイトル: Modulation of apoptosis by melatonin for improving cancer treatment efficiency: An updated review

レビューの要旨

  1. ガンの一般的な治療法は放射線療法や化学療法であるが、どちらも正常な組織に副作用を生じせしめるうえ、腫瘍細胞が適応応答により耐性を獲得して、治療の効果が損なわれたり(がん細胞の)再増殖が活発化したりしてしまう恐れがある。
  2. メラトニンは天然の抗酸化/抗炎症物質であり、放射線療法や化学療法の副作用から(正常な組織を)保護してくれる。 メラトニンはさらに、ガン細胞の放射線療法や化学療法への耐性を解除する(sensitize)のを助けてくれる。
  3. アポトーシス(プログラム細胞死)は、放射線療法や化学療法にさらされた細胞が死滅する主要なメカニズムの1つである。 腫瘍細胞におけるアポトーシスの誘導と腫瘍の退縮/成長鈍化(*)や生存率の向上の間に関係のある(アポトーシスが生じた場合に腫瘍の退縮/成長鈍化や生存率の向上が見られる)ことがこれまでに示されている。
    (*) 「腫瘍の退縮/増殖鈍化」は "tumor delay regression" を訳したもの。 "tumor delay regression" で検索してもこの論文ぐらいしかヒットしないので、"tumor delay regression" という言葉は無いのでしょう。 "tumor regression" は「腫瘍退縮」という訳語があるようですが、"tumor delay" は辞書に載っていません。 そこで "delay" を「(腫瘍の)成長鈍化」と適当に訳しました。
  4. メラトニンは、ミトコンドリア・内因性の活性酸素種・Bcl-2・Bax(Bcl-2-associated X)・アポトーシス受容体などに作用することによってアポトーシスに貢献する。