子宮筋腫の細切除去術で腫瘍が体内に散らばるリスク

(2014年2月) "The Journal of the American Medical Association" に掲載された2つの論文で、子宮筋腫の治療法の1つである細切除去術によって筋腫が腹腔内に種のように散らばり、それが成長して痛みや、感染症、腸閉塞などの原因となるという問題が懸念されています。 子宮筋腫のような良性腫瘍でも、他の臓器に散らばって成長すると問題を引き起こすのです。
細切除去術とは
細切除去術(morcellation)では、体組織(筋腫)を細かく刻んで体外に取り出します。 小さな切開で済むために、①患者への負担が少ない、②失血や、感染症、その他の合併症のリスクが少ない、③回復期間が短縮されるというメリットがあります。
2つの方式

細切除去術はメスまたは細切除去器(電動の回転刃)を用いて行いますが、腫瘍が散らばるというトラブルは細切除去器を用いた場合に多く見られます。 細切除去器は、臓器や血管を傷つけるという事故の原因にもなります。

腫瘍が散らばったらどうするか?

子宮筋腫が他の臓器(肝臓、盲腸、膀胱など)に散らばって成長した場合には、再手術を行って成長した腫瘍を除去することになります。

子宮筋腫が実は悪性の腫瘍というケースも

細切除去術で除去するのが子宮筋腫ではなく実はサルコーマ(肉腫。悪性の腫瘍で子宮筋腫と似ているため手術前には区別がつかない)だったという恐ろしいケースも数件あり、こういうケースではガン細胞が体内に散らばってしまいます。 米国の "Brigham and Women’s Hospital" による推算では、子宮筋腫の患者にサルコーマが潜んでいる確率は 1/400件 ~ 1/1,000件程度だと考えられます。

細切除去術を望まない場合

患者が細切除去術を望まない場合には、開腹手術で子宮筋腫を取り除きます。

新しい技術
細切除去術を行う際に患部をバッグで包み、そのバッグの中で腫瘍を細切するという技術(閉鎖式細切除去術)が考案されており、一部の病院では既に実施されていますが、閉鎖式細切除去術を施術できる医師は現時点ではまだ多くありません。 閉鎖式細切除去術の習得には数ヶ月を要します。