ビタミンDの不足で多発性硬化症が悪化

2012年の研究
ジョンズ・ホプキンス大学の研究(2012年10月)で、ビタミンDの血中濃度が低いと多発性硬化症(MS)の症状が悪化する可能性が指摘されています。
多発性硬化症とは
多発性硬化症(MS)とは、中枢神経系に生じる異変によって筋肉のコントロールや、筋力・視界・バランスを取る能力・感情・思考力に問題が起こるという病気です。 世界全体での患者数は250万人ほどと推算されています。
研究の概要

MSの患者469人のデータを分析したところ、ビタミンDの血中濃度が10ng/ml 増加するごとに、病斑が増えるリスクが15%および再発のリスクが32%低くなっていました。 また、ビタミンDの血中濃度が多いほど障害も減っていました。

留意点

ビタミンDの大量投与が副作用の有無も含めてMSの患者に有益であるかどうかを判断するにはさらに研究が必要です。

2014年の研究

"JAMA Neurology"(2014年1月)に掲載予定のハーバード大学などによる研究でも、初期のMS患者においてビタミンDが不足していると症状が重症化し、進行も速くなる可能性が指摘されています。

研究の特長

これまでに行われた複数の類似研究でも同様の結果になっていますが、それらの研究はMSになってから長い時間が経った患者を対象に行われたため、ビタミンD不足がMS悪化の原因になるのではなく、逆にMSの悪化がビタミンD不足の一因となっていた可能性もあります。

これに対してこの研究では、MSの最初の症状が表れたばかりのMS患者のビタミンD血中濃度を計測しました。

研究の方法
欧州・イスラエル・カナダなど18ヶ国のMS患者465人のビタミンD血中濃度を計測してMSの症状および進行との関係を5年間にわたって調べました。 ビタミンD血中濃度の計測は、症状が出始めた時点およびその後24ヶ月間(複数回を定期的に)に行いました。

結果
初期のMS患者のうちビタミンD血中濃度が十分なグループでは、血中濃度が低いグループに比べて次のようにMSの症状が緩和されていました:
  • 脳に新規の病変が生じる率が57%・MSの再発率が57%・病変部の年間増加率が25%、それぞれ減少していた。
  • 脳の容積の減少(障害の有無の指標となる)が軽度だった。
コメント
研究者は次のように述べています:
「ビタミンDはインターフェロンベータ1b(MSの治療薬)との併用も可能であるように思われます。 MSと診断されたばかりの患者については、ビタミンDが不足していないかどうかをチェックし不足していれば補給するというのを、標準的な治療の一環にすると良いでしょう」