マルチビタミンに白内障予防の効果

(2014年2月) "Ophthalmology" 誌に掲載されたハーバード大学などの研究によると、マルチビタミンのサプリメントの服用を長期間にわたって続けると、白内障のリスクが下がる可能性があります。

研究の方法

50歳以上の米国人男性医師 14,641人を対象に、1997~2011年にかけて無作為化二重盲検試験を実施しました。

被験者の半数にはマルチビタミン、および(マルチビタミンとは別途に??)ビタミンC、ビタミンE、βカロチンのサプリメントを毎日服用してもらい、もう半数にはプラシーボを服用してもらいました。

そして、両グループにおける白内障と老人性黄斑変性の発症率を調べたところ、老人性黄斑変性の発症率に関しては両グループで有意な差が認められませんでしたが、白内障に関しては有意な差がありました。

結果
白内障

白内障の発症件数は、プラシーボのグループで 945件であったのに対して、マルチビタミンのグループでは872件であり、その差は9%でした。 さらに、核性白内障(眼球の水晶体の中央に生じるタイプの白内障で、加齢による白内障の中では最も一般的)に限ると、両グループの発症件数の差は13%でした。

この9%や13%というリスク低減率は有意ではあっても大きい数字とは言えません。 しかし、白内障は患者数が多いので、この程度の数字でも、マルチビタミンの服用によって白内障のリスクを下げられるとすれば社会的には大きな意味があります。

ただし米国眼科学会は、現時点では白内障の予防あるいは進行阻止を目的としてマルチビタミンを服用することを推奨していません。
老人性黄斑変性

一方、老人性黄斑変性(AMD)の発症件数は、視覚に有意に影響する程度のもの(最高矯正視力が 20/30 またはそれより悪い)に限ると、プラシーボのグループで129件であったのに対して、マルチビタミンのグループでは152件と増加していました。 研究者によると、この増加は統計的に有意となるほどではありませんが、懸念事項ではあります。

今回の結果と違って、サプリメントが AMD のリスク減少に有効であるという結果になった研究も "Age-Related Eye Disease Study(AREDS)" を初めとして複数存在しますが、今回の研究(PHS II)とは用量などが異なります。

例えば AREDS では、亜鉛と高用量の抗酸化物質(ビタミンE、ビタミンC、ベータカロチン)を毎日服用しました。 これに対して PHS II で用いられたマルチビタミンに含有されるビタミン群の量は、米国における推奨摂取量(RDA)に基づくもので、AREDS における服用量よりも格段に少ない量でした。

また、AREDS では既に AMD を発症している患者を対象に、AMD の進行予防に対するサプリメントの効果を調べたのに対して、PHS II では AMD の発症予防に対する効果を調べました(したがって、研究開始の時点で既に AMD と診断されていた人は含まれていません)。