(2017年8月) 州立ワシントン大学とハーバード大学の研究チームが Google 検索のデータを用いて天気と関節痛の関係を調べた結果が "Plos One" に掲載されています。
研究の方法
米国の人口が最も多い45の都市について、過去5年間のうちに Google 検索において「膝痛・腰痛・関節炎・胃痛(*)」といったキーワードで検索がなされた量と、各都市の気温・湿度・気圧・降水量を調べました。
(*) 胃痛は関節痛や関節炎の比較対象として調査対象となった。
結果
- 「膝痛」や「腰痛」というキーワードの検索量との間に統計学的に有意な関係が見られたのは、気温と降水量だけだった。
- 気温が-5℃から30℃へと上昇するにつれて、「膝痛」や「腰痛」で検索される量が増えていた。 「膝痛」は気温が23℃のとき、「腰痛」は 28℃のときに検索量がそれぞれ最大となり、それよりも気温が高くなると検索量が再び減っていた。
- 「膝痛」も「腰痛」も、雨の日には検索量が減っていた。
- 「関節炎による痛み」の検索量は、寒い日には増えていなかったが気温が35℃を超えると増えていた。
- 「胃痛」の検索量と天候の間には関係が見られなかった。
解説
今回の結果から、天候が膝痛や腰痛の発生に直接的に影響しているのではなく、気温や降水量によって活動量が変わるために膝痛や腰痛が生じやすかったり生じにくかったりするのではないかと考えられます。
寒いとき・暑過ぎるとき・雨のときには体を動かすことが少ないので関節痛が生じることが少なく、適温のときや天気が良いときには体を動かすことが多いので関節痛が生じやすい(そして自分でどうにかしようとして検索する人が増える)のではないかというわけです。
これまでの研究でも、天気と関節痛や関節炎との関係は明確には示されていません。